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法人・会社の自己破産

法人・会社の自己破産において気を付けるべき注意点

法人・会社の自己破産には,個人の自己破産の場合よりも負債や資産が大きく,それだけに多くの利害関係人に大きな影響を与えることがあります。

そのため,法人・会社の自己破産の場合には,個人の自己破産よりも厳格な審査や手続がとられます。したがって,法人・会社の自己破産においては,いくつか,慎重に検討・対応しなければならない注意点があります。

ここでは,会社・法人の自己破産における注意点のうち,特に注意すべき点について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

(著者:弁護士 志賀 貴

※東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所の法人破産・会社破産の実績等について詳しくは,法人破産・会社破産に強い弁護士をお探しの方へをご参照ください。

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法人・会社の破産と個人破産

法人・会社は,個人と異なり,非常に複雑な法律関係を抱えています。取引先や顧客との法律関係はもちろん,会社内部においても,従業員との労働・雇用関係という法律関係がありますし,財産も個人に比べて多種多様です。

負債額や債権者の数も,個人の負債に比べれば,はるかに大きいという場合が大半でしょう。何千万円,何億円という単位になることも少なくありません。

このように,法人・会社の場合には,債権者の数や負債額,法律関係などが複雑となりますから,社会に与える影響も個人に比べて大きいといえます。

そのため,法人・会社の破産の場合には,個人の自己破産に比べて,審査や手続が厳格かつ複雑となる場合が少なくありません。

また,個人の自己破産の場合には,仮に自己破産したとしても,その個人はその後も社会生活を送っていかなければなりません。単に財産関係を清算するというだけではなく,経済的更生をも考慮しなければならないということです。そのため,免責制度や自由財産制度などが設けられています。

これに対し,法人・会社の場合には,そのような考慮をする必要がありません。その違いも,個人の自己破産との違いといえるでしょう。

>> 法人破産と個人破産の違いのQ&A

否認権の問題

法人の破産の場合には,同時廃止として扱われる場合が極めて例外です。管財事件として扱われるのが通常です。

東京地方裁判所立川支部も同様です。)でも,法人・会社の破産については,原則として,管財事件(少額管財を含む。)として取り扱われることになります。

管財事件となると,裁判所は破産管財人を選任して,破産会社の財産の管理処分を任せることになります。この破産管財人には「否認権」という権限があります。

否認権とは,簡単にいえば,破産手続開始前に処分してしまったものの,本来であれば破産財団に組み入れられるべき財産(債権者に配当するはずであった破産会社の財産)を取り戻すことができるという権限です。

法人・会社の破産,特に中小企業の自己破産において特に問題となるのが,この否認権の問題です。

中小企業の場合,仮に破産することになるとしても,できれば,個人的な付き合いのある取引先等については返済をしておきたいと思うのが人情でしょう。

そのため,他の債権者には返済しないにもかかわらず,残余財産を使って,そのような情のつながっている特定の債権者にだけ返済してしまうということがあります。

しかし,他の債権者には返済しないにもかかわらず,そのような特定の債権者にだけ返済をしてしまうということは,債権者の平等を害する行為であり,否認権行使の対象となる場合があります。いわゆる「偏頗弁済(へんぱべんさい)」です。

このような,一部の債権者にだけ返済を先に済ませてから自己破産を申し立てるという事例は非常に多いですが,上記のとおり,債権者平等を害する行為であり,本来許されない行為ですから,裁判所も,このような偏頗弁済については,相当過敏で,かなり厳しい措置がとられる場合があります。

具体的にいえば,破産手続開始後,その偏頗弁済分を破産財団に組み入れるため,破産管財人がその債権者に返還を請求し,場合によっては訴訟を提起するようなことになり,かえってその債権者に迷惑をかけることになるおそれがあります。

したがって,気持ちは理解できるのですが,例え人情的に返済したいという気持ちがあるとしても,偏頗弁済になるような返済は控えるべきでしょう。

事業用資産の処分

法人・会社の破産の場合,個人破産の場合と異なり,自由財産は認められません。つまり,法人・会社名義の財産はすべて換価処分し,それによって得た金銭を債権者に配当する必要があります。

仮に,換価処分できない財産(無価値または処分費用の方がかかってしまうような財産)があった場合には,破産者のおさめる予納金で処分しなければならないという場合があります。つまり,追加予納が必要となる可能性もあるのです。

また,事業用資産を,破産手続開始前に,無料または廉価で,役員や第三者に譲渡してしまうというケースがありますが,これも債権者を害する行為ということで,前記の否認権行使の対象となるおそれがありますので,注意が必要です。

ちなみに,売掛金も債権という財産になりますから,回収が必要となってきます。ある売掛先は個人的な関係があるので回収はしたくない,という人情的な理由があるとしても,これを回収しないということは許されません。

労働・雇用関係の整理

法人・会社など事業者破産において,大きな問題に発展しがちなのは,やはり労働雇用の問題,すなわち,従業員との法律関係です。

従業員にしてみれば,勤務先がなくなるのですから,黙っていられるわけもありません。そのため,非常に強い反発が生ずる可能性があります。

この雇用関係に基づく賃金は,他の債権に優先して配当がなされることとされていますが,必ずしも配当できるかどうかは分からないので,自己破産をする場合には,従業員に対しても誠意をもって説明しておく必要があります。

そして,その上で,個々の状況によっては,自己破産の申立て前に,従業員を解雇しておく必要があるでしょう。

なお,従業員を解雇する場合には,賃金だけでなく,退職金を支払い旨の労働条件を設定指定ならば退職金,また,即時解雇等であれば解雇予告手当などについても注意を払っておく必要があります。

ただし,あまりに早く従業員に自己破産することを告げてしまうと,そこから他の債権者に情報が洩れてしまうという可能性もありますので,安易に自己破産の予定や債務超過となっていることを伝えるのは避けるべきでしょう。

>> 会社破産における雇用関係の対応・処理のQ&A

代表者・役員の報酬

前記のとおり,法人・会社の自己破産においては,労働者に対する賃金等は有せ員的な債権とされています。これに対して,代表者や会社役員・取締役に対する報酬は,労働者の賃金と異なり優先的な債権とはされていません。

したがって,法人・会社がすでに支払停止の状況に陥ってしまった後に,代表者や取締役に対して報酬を支払うことは,原則として許されません。

仮に,支払をしてしまった場合には,前記の否認権行使の対象となる可能性がありますので,これも注意が必要でしょう。

各種法律関係の清算

法人・会社は,多くの法律関係を抱えているのが通常です。そのため,このさまざまな法律関係についても,適切な処置をしておく必要があります。

特に多い法律関係は,事業所の賃貸借契約や事務用品・通信機器・自動車などのリース契約です。また,光熱費・通信費やインターネット料金なども債権ですから,忘れてはいけません。

自己破産に当たっては,このような契約関係も当然整理の対象となります。したがって,これら当たり前の支払いに関する法律関係についても,漏らさず把握しておく必要があるでしょう。

代表者等の自己破産等

中小企業が金融機関等から借入れ等をする場合,その企業の代表者や役員が連帯保証人となるのが一般的です。

そうすると,仮に法人・会社のみが自己破産したとしても,連帯保証人である代表者や役員等まで支払義務を免れるわけではありませんから,その代表者等が法人・会社の負債の支払義務を負担しなければならないということになります。

そのため,法人・会社が自己破産をする場合には,代表者や役員等も,その会社と一緒に自己破産を申し立てることが少なくありません。

>> 法人・会社の自己破産と代表者の債務整理

弁護士報酬・費用の問題

法律上,自己破産を申し立てる法人や会社のみで申立てをすることは制限されていませんが,実際には,法人・会社の自己破産については,弁護士を代理人としている場合でなければ受け付けないという運用をとっている裁判所が少なくありません。

東京地方裁判所でも,法人・会社の自己破産の場合には,原則として,弁護士を代理人とする申立てしか受け付けないという運用となっています。

そうすると,法人・会社の自己破産を申し立てようという場合には,弁護士を依頼するための弁護士報酬も必要となってきます。

また,法人・会社の自己破産は,原則として,管財事件(少額管財を含む。)となりますので,裁判所に予納すべき予納金も必要となります。

したがって,法人・会社の自己破産をする場合には,現実的な問題として,弁護士報酬や予納金を支払えるだけの財産くらいは残しておかなければならないということになります。

>> 法人・会社の自己破産の弁護士報酬・費用

法人・会社の自己破産の注意点に関連するページ

法人・会社の自己破産の注意点に関してより詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら,以下のページもご参照ください。

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