自己破産をすると,資産・財産を処分しなければならなくなります。もっとも,全財産を処分する必要はありません。ここでは,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所が,自己破産をすると処分しなければならない財産とはどのようなものか?というご質問にお答えいたします。以下の項目からお知りになりたいご質問をお選びください。
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資産・財産の処分の概要
自己破産した場合の資産・財産の処分全般についてのQ&Aです。
- Q.自己破産すると全財産を処分しなければならないのですか?
- Q. 自由財産とは何ですか?
- Q. 自由財産となるのは、どのような財産ですか?
- Q. 破産手続開始から破産手続終了までの間に取得した財産も処分しなければいけないのでしょうか?
- Q. 差押えが禁止されている財産は自己破産しても処分しなくてよいというのは本当ですか?
- Q. 差押禁止財産にはどのようなものがありますか?
- Q. 差押禁止動産にはどのようなものがありますか?
- Q. 差押禁止債権にはどのようなものがありますか?
- Q. 自由財産の拡張とは何ですか?
- Q. どういう場合に自由財産の拡張が認められるのですか?
- Q. 東京地方裁判所の自由財産拡張基準(換価基準)とは何ですか?
- Q. 破産財団からの放棄とは何ですか?
- Q. どういう場合に破産財団からの放棄がなされるのですか?
- Q.自己破産すると全財産を処分しなければならないのですか?
- A. いいえ,そのようなことはありません。個人の自己破産の場合,自己破産をしても,自由財産と呼ばれる財産は処分しなくてもよいことになっています。
- Q. 自由財産とは何ですか?
- A. 自由財産とは,自己破産をしても,破産者が自由にすることができる財産のことです。つまり,自己破産しても処分しなくてもよい財産ということです。
- Q. 自由財産となるのは、どのような財産ですか?
- A. 自由財産となる財産は,破産手続が開始された後に手に入れた財産(新得財産),差し押さえが禁止されている財産,99万円以下の現金,裁判所によって自由財産にしてもよいと認められた(自由財産の拡張又は破産財団からの放棄がなされた)財産です。
- Q. 破産手続開始から破産手続終了までの間に取得した財産も処分しなければいけないのでしょうか?
- A. いいえ。破産手続において処分しなければならない財産は破産手続開始の時に持っていた財産だけですので,破産手続開始後に取得した財産は,破産手続中に取得したものであっても処分する必要はありません。これを「新得財産」といいます。
- Q. 差押えが禁止されている財産は自己破産しても処分しなくてよいというのは本当ですか?
- A. はい。法律上差押えが禁止されている財産のことを差押禁止財産といいますが,この差押禁止財産は,破産法上,自由財産とされているので,自己破産しても処分しなくてよいものとされています。
- Q. 差押禁止財産にはどのようなものがありますか?
- A. 差押禁止財産には,差押えが禁止される動産(不動産以外の物)と差押えが禁止される債権とがあります。
- Q. 差押禁止動産にはどのようなものがありますか?
- A. 生活必需品である衣服や家具,1か月分の食糧や燃料,その他仕事に欠くことのできない作業器具などが差押禁止動産となります。なお,現金については,66万円が差押禁止とされていますが,破産法ではそれを一歩拡大して,99万円が自由財産となります。
- Q. 差押禁止債権にはどのようなものがありますか?
- A. 差押えが禁止される債権の代表的なものは,以下のとおりです。
- 国等から受給している継続的給付に係る債権の4分の3
- 給料等の請求権の4分の3
- 退職金等の請求権の4分の3
- 夫婦間の扶助義務に係る生活費等の請求権の2分の1
- 婚姻費用分担義務に係る婚姻費用の請求権の2分の1
- 養育費の請求権の2分の1
- 親族間の扶養義務に係る生活費等の請求権の2分の1
- Q. 自由財産の拡張とは何ですか?
- A. 本来ならば自由財産とならないはずの財産を,裁判所の判断で自由財産にしてもらうことをいいます。
- Q. 自由財産の拡張が認められるのは,どのような場合ですか?
- A. 自由財産の拡張は破産者の生活基盤の保護を趣旨としていますので,自由財産の拡張が認められるのは,その財産が破産者の生活に欠くことができないものといえる場合です。東京地裁では,一定の財産については,予め自由財産の拡張を認めるという基準(自由財産拡張基準・換価基準)が定められています。
- Q. 東京地方裁判所の自由財産拡張基準(換価基準)とは何ですか?
- A. 東京地裁の自由財産拡張基準(換価基準)は,以下のとおりです。
- 残高(複数ある場合は合計額)が20万円以下の預貯金
- 見込額(数口ある場合は合計額)が20万円以下の生命保険契約解約返戻金
- 処分見込額価額が20万円以下の自動車
- 居住用家屋の敷金債権
- 電話加入権
- 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権
- 支給見込額の8分の1相当額が20万円以上である退職金債権の8分の7相当額
- 家財道具
- Q. 破産財団からの放棄とは何ですか?
- A. 債務者の財産は、破産手続が開始されると,破産管財人によって管理処分されることになります。この破産管財人によって管理処分される財産のことを破産財団といいますが,裁判所や破産管財人が破産財団に含めておくのが妥当でないと判断した財産は,破産財団から外される(つまり、自由財産となる)ことがあります。これを破産財団からの放棄といいます。
- Q. どういう場合に破産財団からの放棄がなされるのですか?
- A. あまりに価値が低いため処分する方がお金がかかるような場合や,処分するのに著しい手間がかかるような場合には,破産財団からの放棄がなされることがあります。
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生活必需品
- Q. 自己破産すると,生活必需品はどうなるのですか?
- A. 衣服や家具,1か月分の食糧などは,差押えが禁止されている財産です。これらは,自由財産となるので,自己破産しても処分しないでよいことになっています。東京地裁では,差押禁止の範囲を若干拡大する運用がなされいますので,自由財産となる生活必需品の範囲も拡大されています。
- Q. 自由財産となる生活必需品にはどのようなものがありますか?
- A. 例えば,東京地方裁判所では,以下の動産が差押禁止とされていますので,自己破産においても,自由財産となります。他の裁判所では若干の相違があるかと思いますが,参考にはなるでしょう。
- 整理タンス
- 洗濯機(乾燥機付きを含む)(ただし,1台)
- ベット
- 洋タンス
- 調理用具・食器棚・食卓セット
- 冷蔵庫(容量を問わない)(ただし,1台)
- 電子レンジ(オーブン付きを含む)(ただし,1台)
- 瞬間湯沸し器(ただし,1台)
- ラジオ(ただし,1台)
- テレビ(29インチ以下)(ただし,1台)
- 掃除機(ただし,1台)
- 冷暖房器具(但し、エアコンを除く)(ただし,1台)
- エアコン(ただし,1台)
- ビテオデッキ(ただし,1台)
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現金・預金・貯金
- Q. 自己破産しても現金をもっていることができるのですか?
- A. はい。もっとも,いくらでも持っていてよいというわけではありません。持っていてもよい現金は,99万円以下に限られています。
- Q. 自己破産すると,預金や貯金の口座を解約しなければならないのですか?
- A. 預金や貯金は自由財産とはならないので,自己破産したら解約しなければならないのが原則です。ただし,東京地裁では,預貯金の合計額が20万円以下の場合には,自由財産の拡張により,口座を解約しなくてもよいことになっています。
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給料・賞与・退職金
- Q. 自己破産しても,給料はもらえるのですか?
- Q. 自己破産した場合,退職金はどうなるのでしょうか?
- Q. 東京地裁では,退職金についてどのように扱っているのでしょうか?
- Q. まだ退職していない場合でも,一定の金銭を納めなければいけないのでしょうか?
- Q. 自己破産しても,給料はもらえるのですか?
- A. 給料の4分の3(給料が44万円を超える場合には、そのうちの33万円)は差押えが禁止されているので,自由財産となります。また,実際には,残りの部分も自由財産と同様に扱われています。そのため,自己破産しても,給料は全額もらうことができるのが通常です。
- Q. 自己破産した場合,退職金はどうなるのでしょうか?
- A. 退職金の4分の3は差押えが禁止されているので,自由財産となります。もっとも,残りの4分の1は自由財産とならないので,換価処分が必要となります。ただし,東京地裁では,自由財産の拡張によって処分しなくてもよい範囲が拡大されています。
- Q. 東京地裁では,退職金についてどのように扱っているのでしょうか?
- A. 東京地裁では,自由財産の範囲を拡大し,破産手続開始時の支給見込額の8分の1が20万円に満たない場合(つまり,退職金支給見込額が160万円未満の場合)は,全額を自由財産としています。また,支給見込額の8分の1が20万円以上であっても,8分の7は自由財産となり,8分の1相当部分だけ処分すれば足りるという運用がなされています。ただし,破産手続中に退職金が支払われることが見込まれる場合には,この運用はなされないものとなっています。
- Q. まだ退職していない場合でも,一定の金銭を納めなければいけないのでしょうか?
- A. はい。現在退職していなくても,自由財産とならない部分については,処分しなくてはいけません。もっとも,会社を辞めて退職金をもらい,それを処分するというのは現実的ではないため,大半の場合には,自由財産とならない部分の相当額の現金を納めるという運用がなされています。
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生命保険・その他の保険
- Q. 生命保険に加入しているのですが,自己破産したら,この生命保険契約も解約しなければいけないのでしょうか?
- A. 生命保険を解約すると,解約返戻金が返ってくることがあります。この解約返戻金は自由財産とならないので,自己破産したら生命保険契約を解約して解約返戻金を裁判所に渡さなければならないのが原則です。ただし,東京地裁では,生命保険解約返戻金の見込み額の合計額が20万円未満の場合には,自由財産の拡張により,生命保険契約を解約しなくてもよいことになっています。
- Q. 生命保険以外の保険についてはどうなるのでしょうか?
- A. 東京地裁の換価基準によると,生命保険だけが自由財産拡張の対象となっているかのように思われますが,実際には,生命保険以外の保険の解約返戻金も,生命保険と同様に扱われているようです。
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自動車・バイク
- Q. 自己破産したら,自動車も処分されてしまいますか?
- A. 自動車は自由財産とはならないので,自己破産したら処分しなければならないのが原則です。ただし,東京地裁では,自動車の処分見込み額が20万円以下の場合には,自由財産の拡張により,自動車を処分しなくてもよいことになっています。
- Q. バイクも処分されてしまうのでしょうか?
- A. バイクも自動車と同様自由財産とならないので,自己破産したら処分しなければならないのが原則です。また,東京地裁でも自由財産拡張の基準に含まれていません。もっとも,実際は,自動車と同様に扱われているようです。
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不動産
- Q. 自己破産すると,不動産は必ず処分しなければいけないのでしょうか?
- Q. オーバーローン不動産とは何ですか?
- Q. オーバーローン不動産はどのように扱われるのでしょうか?
- Q. オーバーローン不動産は処分されないということですか?
- Q. 自己破産すると,不動産は必ず処分しなければいけないのでしょうか?
- A. はい。残念ながら不動産の処分は免れないでしょう。
- Q. オーバーローン不動産とは何ですか?
- A. 住宅ローンなどが残っている場合,不動産に抵当権などの担保がついているかと思います。そのような場合に,残っている住宅ローンの金額の方が,不動産の査定価格よりも高いの場合のことを,担保となっている不動産の価値よりもそれに付いているローンの金額の方がオーバーしているという意味で,「オーバーローン不動産」と呼んでいます。
- Q. オーバーローン不動産はどのように扱われるのでしょうか?
- A. 1.5倍以上のオーバーローン,つまり,不動産に担保を付けているローン残額が,その不動産の価額の1.5倍以上である場合,東京地裁では,オーバーローンの上申書を提出することによって,破産手続で処分されることはなくなります。ただし,だからといってもはや処分されなくなるというわけではありません。
- Q. オーバーローン不動産は処分されないということですか?
- A. 上記のとおり,1.5倍以上のオーバーローン不動産は,破産手続では処分されませんが,だからといって不動産を処分しなくてよいというわけではありません。単に破産手続の中では処分されないというだけで,ローンが残っている以上,競売手続によって処分されることになります。
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その他の財産
- Q. 離婚した夫から毎月養育費を受け取っています。自己破産したら,養育費も処分されてしまうのですか?
- A. 養育費の2分の1は差押えが禁止されているので,自由財産となります。残りの2分の1は裁判所に渡さなければならないのが原則ですが,自由財産の拡張が認められる場合があります。もっとも,裁判所に渡さなければならないのは,破産手続が開始した時点でまだ受け取っていないものだけです。破産手続が開始した後に支払われる養育費は,裁判所に渡す必要はありません。
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