よくあるご質問

過払い金(争点・論点)のQ&A

過払い金返還請求には,いくつかの法律上の争点があります。ここでは,過払金返還請求における各種の法律上の争点に関するご質問ついて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。


過払金返還請求訴訟

Q. 過払金(過払い金)の返還を訴訟で請求するという場合はあるのでしょうか?
A. もちろんご依頼人の意思を確認した上でのことですが,債権者が交渉だけでは過払金の返還に応じないという場合には,訴訟を選択することもあり得ます。特に昨今は,交渉だけで納得できる金額の過払金を返還するという債権者が少なくなってきているため,訴訟となるケースが増えています。
Q. 訴訟になった場合,自分も出頭しなければいけないのですか?
A. 過払金の返還訴訟の場合,原則として,ご本人が出頭することは無いと思って頂いて結構です。弁護士が代理人として出頭いたします(もちろん委任契約を締結したことを前提として、です。)。ただし,証拠収集等にはご協力頂く場合があります。
Q. 訴訟で勝てば,必ず過払い金を回収できるのでしょうか?
A. 残念ながら,貸金業者によっては,裁判で負けても支払いをしてこない業者があります。詳しくはご相談ください。

みなし弁済

Q. 利息制限法に違反する利息でも,いったん支払ってしまった以上は返してもらえなくなるという制度があると聞いたことがあるのですが,本当ですか?
A. みなし弁済という制度です。しかし,この制度は条件が厳しいためほとんど適用されることがありません。しかも,廃止されることが決まっています。心配には及ばないでしょう。

過払い金の利息(悪意の受益者)

Q. 過払金に利息を付けて返還するように請求することはできますか?
A. はい。過払金の返還を請求する権利は法的にいうと不当利得返還請求権といいます(民法703条)。この不当利得は,利得している者が「悪意の受益者」である場合,不当利得に利息を付けて返還しなければならないとされています(同法704条)。したがって,貸金業者が「悪意の受益者」であれば,過払金それ自体にも利息を付けて返還するように請求することができます。
Q. 悪意の受益者とは何ですか?
A. 悪意とは,要するに,自分が手に入れた利益が,実は不当な利得だったと知っていることをいいます。一般的な意味での「悪意」のように相手に損害を与えてやろうなどという意味ではありません。そして,過払金の場合でいえば,貸金業者が返還しなければならない利息制限法に違反する利息であったことを知っていたという場合には,その貸金業者は「悪意の受益者」に当たります。
Q. 貸金業者が悪意の受益者と認められるのはどのような場合ですか?
A. まず,平成18年1月13日より前に過払い金が発生していた場合については,原則として,貸金業者は,貸金業者であるというだけで,悪意の受益者と認められるでしょう。平成18年1月13日以降については,貸金業者であるというだけでは足りず,みなし弁済が成立すると認識しておらず,又は認識していたとしてもそのように認識するに至ったとしてもやむを得ないといえる特別な事情がないときに,悪意の受益者となると考えられています。
→ 過払金の利息について詳しくはこちらから
Q. 過払い金に利息がつく場合,その利率は何パーセントなのでしょうか?
A. 年率5パーセントと考えられています。最高裁判所の判例でもそのように解されています。
Q. 過払い金の利息はいつから発生するのでしょうか?
A. 個別の取引ごと,つまり,個々の返済をして過払金が発生する都度に利息も発生すると考えられています。最高裁判所の判例でもそのように解されています。

一連計算(途中完済・取引の分断)

Q. ある貸金業者と取引をしていましたが,途中で完済した後に再度借入れをしたという経緯があります。このような場合に,過払い金について何か影響があるのでしょうか?
A. 完済した後に再度借入れをしたときに新しく契約をし直したという場合には,取引が分断されているものとして,前の取引と後の取引とを別々に引き直し計算しなければならなくなると考えられています。そのように取引を分断させて計算すると,過払い金の金額が減ってしまう場合があります。
→ 取引の分断の詳細はこちら
Q. どのような場合に取引が分断されたと判断されるのですか?
A. 判例によれば,基本契約が別になされていると判断された場合に,その各基本契約に基づく取引は別々の取引,つまり分断されていると判断されると考えられています。
Q. 新しい基本契約をしてしまうと,必ず取引が分断してしまうのでしょうか?
A. いいえ。基本契約が異なるからといって,必ずしも取引が分断されると判断されてしまうわけではありません。仮に基本契約が複数ある場合でも,実質的に一連・1つの取引であると判断できる場合には,取引は分断されないとするのが判例の考え方です。
Q. 事実上一連の取引と判断されるのは,どのような場合ですか?
A. 判例によれば,以下のような事情を綜合的に考慮して,事実上取引が一連と言えるかどうかを判断すべきと考えられています。
  • 第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さ
  • 第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間
  • 第1の基本契約についての契約書の返還の有無
  • 借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無
  • 第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況
  • 第2の基本契約が締結されるに至る経
  • 第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同

推定計算・残高無視計算

Q. 貸金業者が過去の取引履歴の一部を開示してくれません。どうやって過払い金を計算すればよいでしょうか?
A. もしこれまでの取引の経過を証明できるような証拠が一部でもあれば,その証拠をもとに取引の経過を出来る限り推定して再現し,それをもとに引き直し計算をします。これを推定計算といいます。そのような証拠が無い場合でも,取引履歴が一部でも開示されていれば,その最初の残高を0円として引き直し計算をするという方法もあります。これを残高無視計算とか,0推定計算と呼んでいます。
Q. 推定計算をするためには,どのような証拠が必要となるのでしょうか?
A. 返済や借入れが銀行振込であれば,銀行の預金履歴を証拠が利用できます。また,現在残っている貸金業者との間の契約書や,貸金業者からの請求書や領収書も有力な証拠です。これらが無い場合には,ご本人の記憶に基づいて陳述書などを作成することになります。
Q. 推定計算をするための資料がありません。どうやって過払い金の計算をすればよいでしょうか?
A. 証拠が無い場合でも,取引履歴の一部さえ開示されていれば,その履歴の最初の残高を0円として計算する残高無視計算という方法をとることができる場合があります。

過払い金の消滅時効

Q. すでに支払い終わってからずいぶん経つのですが,過払い金の返還を請求することができるのでしょうか?
A. はい。支払い終わっていようとまだ支払い継続中であろうと,利息制限法に違反する高い利率の利息を支払い続けていたことに違いはありませんから,すでに支払い終わっている場合でも過払い金の返還請求は可能です。
Q. 支払い終わったのがどんなに昔のことでも,過払い金の返還は可能ですか?
A. いいえ。最終の取引日から10年が経過してしまうと,過払金の返還を請求する権利そのものが時効によって消滅してしまうので,それ以降は原則として過払金があっても返還請求をすることができなくなります。
Q. 具体的には,いつから10年が経過すると時効消滅してしまうのでしょうか?
A. 最終の取引日の翌日からです。つまり,まだ約定の残高が残っている場合には最後の借入れ又は返済の日の翌日から,すでに支払が終わっている場合には最後の返済の日の翌日から,それぞれ10年経過すると時効消滅してしまいます。
Q. もう少しで最後の取引から10年が経過します。もう間に合わないのでしょうか?
A. いいえ。10年が経過する前に時効中断の措置,具体的には過払金返還請求の訴訟を提起すれば大丈夫です。また,訴訟ではなく単に請求をするだけでも,仮の措置として時効を中断させることは可能です。ただし,単に請求するだけの場合はその請求から半年以内に訴訟を提起する必要があります。

その他の争点・問題点

Q. 上記の他に,過払い金についてはどのような争点があるのでしょうか?
A. 営業譲渡・債権譲渡の問題があります。つまり,A社に対して借入れと返済を繰り返してきた結果,A社に対して過払金が発生したにもかかわらず,A社がB社にその貸金債権(本当はもう過払いになっているのですが)を譲り渡したということがあります。この場合,通常はB社に対してA社の分も含めて過払金の返還を請求しますが,B社は過払金返還債務は譲り受けていないなどと主張してくる場合があります。そこで,B社が過払金返還債務も譲り受けているかどうかが争点となることがあります。
Q. 過払い金の返還が難しくなっていると聞いたのですが?
A. はい。最近は任意の返還に応じてこない,又は納得できる金額の返還をしてこない貸金業者がかなり増えてきています。
Q. 相手方が任意に支払いをしてこない場合にはどうすればいいのでしょうか?
A. 相手方の財産に対し強制執行をすることになります。ただし,必ずしも回収できるわけではありません。財産隠しをしている貸金業者も少なくないからです。

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代表弁護士 志賀 貴
第一東京弁護士会所属
日弁連登録番号35945