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個人再生(個人民事再生)

給与所得者等再生はどのような場合に利用できるか?

個人再生手続には,基本形である小規模個人再生のほかに,給与所得者など収入が比較的安定している債務者向けの特別類型として「給与所得者等再生」という手続も用意されています。

もっとも,この給与所得者再生を利用するためには,当然のことながら,いくつかの法律上の条件を満たしていなければなりません。

このページでは,この給与所得者等再生はどのような場合に利用できるのか(給与所得者等再生の要件)について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

※東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所における個人再生の実績・経験やお取り扱いについては個人再生申立ての経験豊富な弁護士をお探しの方へをご参照ください。

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再生手続開始決定の要件と再生計画認可決定の要件

個人再生(個人民事再生)の要件という場合,2つの場面における要件を考えておく必要があります。それは,手続開始決定のための要件と再生計画認可決定のための要件です。

そもそも個人再生の手続が開始されなければ話になりませんから,当然のことながら,再生手続開始決定が認められるための要件を満たしている必要があります。

また,再生手続開始決定が出されたとしても,再生計画が認可されなければ(不認可となってしまえば),個人再生は失敗に終わるということになります。

したがって,個人再生を利用しようという場合には,個人再生手続開始決定のための要件と再生計画認可決定のための要件の両方を満たすことができるのかをあらかじめ検討しておく必要があるのです。

給与所得者等再生開始決定の要件

小規模個人再生手続開始決定が認められるためには,民事再生手続共通の開始要件と個人再生共通の開始要件の両方を満たしている上で,さらに給与所得者等再生特有の要件も満たしている必要があります。

民事再生共通の開始要件

まず,第一に,そもそも民事再生の要件を満たしている必要があります。民事再生共通の要件は以下のとおりです。

  • 再生手続開始原因があること
  • 再生手続申立棄却事由がないこと

再生手続開始原因とは,具体的にいえば,「債務者に破産の原因たる事実の生ずるおそれがあること」または「債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないこと」を意味します。要するに,支払不能または支払不能となるおそれがあるか,あるいは,事業に必要不可欠な財産を処分しなければ借金を返していけないような状態にあるということです。

再生手続棄却事由とは,具体的には,予納金の納付がないこと,収入不足など再生計画認可の見込みがないこと,計画倒産など不法な申立てであること,破産などの別の倒産手続の方が債権者の利益になると判断されることなどです。

個人再生共通の開始要件

民事再生の要件を満たしているとしても,個人再生に共通する要件(小規模個人再生の要件)を満たしている必要があります。個人再生共通の要件は以下のとおりです。

  • 債務者が個人であること
  • 負債総額が5000万円を超えていないこと

個人再生である以上,利用できるのは個人だけです。法人が利用することはできません。

加えて,個人再生の開始が認められるためには,債権額(住宅資金特別条項を利用する場合は,住宅ローンの金額は除く。)が5000万円以下でなければならないとされています。

給与所得者等再生の要件

前記民事再生・個人再生共通要件を満たしている上で,さらに給与所得者等再生特有の要件を満たしていなければなりません。

  • 給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあること
  • 定期的な収入の額の変動の幅が小さいこと
  • 過去に給与所得者等再生の再生計画を遂行している場合に,その再生手続認可決定確定日から7年を経過していること
  • 過去に破産手続の免責許可決定を受けている場合に,その免責許可決定確定日から7年を経過していること
  • 過去に個人再生のハードシップ免責を受けている場合に,その免責許可確定日から7年を経過していること

給与所得者等再生は,給与所得者など特に収入の安定性が高い場合に,債権者の消極的な同意なしに再生計画を認可させることができるという手続です。

そのため,給与所得者等再生の場合には,小規模個人再生の場合のような継続的・反復した収入があるというだけでは足りず,その収入が給与等の安定性の高い定期収入で,しかも,その定期的収入の変動幅が小さいものでなければならないとされています。

また,過去に給与所得者等再生の再生計画認可決定,破産手続の免責許可決定,個人再生のハードシップ免責許可決定を受けている場合には,それらの決定の確定の日から7年を経過していない場合には,給与所得者等再生の申立て棄却事由となるとされています。

給与所得者等再生の再生計画の認可決定の要件

個人再生における再生計画が認可されるためには,「不認可事由」と呼ばれる一定の事由がないことが必要となってきます。この不認可事由にも,民事再生共通の不認可事由と小規模個人再生共通の不認可事由とがあります。

民事再生共通の不認可事由

  • 再生手続又は再生計画に重大な法律違反があり,しかも,その不備を補正することができないものであること
  • 再生計画遂行の見込みがないこと
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したこと
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反すること

再生計画の法律違反が不認可事由は,その違反が重大でしかも不備を補正できない場合に限られます。

また,開始要件における申立棄却事由と同様,収入不足など再生計画遂行見込みがない場合,不正な行為があった場合,他の倒産手続の方が債権者に有利であるなど再生債権者の一般利益に反する場合も,不認可事由となります。

個人再生共通の不認可要件

  • 再生債権総額が5000万円を超えること
  • 最低弁済基準を下回っていること

小規模個人再生特有の開始要件と同様,再生債権額が5000万円を超えていることが判明した場合も不認可事由となります。

さらに,再生計画においては,最低弁済基準をクリアしている必要があります。最低弁済基準とは,要するに,個人再生の場合であっても必ず弁済しなければならない最低限度の弁済金額のことです。具体的には以下のとおりです。

まず,無異議債権等(再生債権者から異議が出されなかった債権や裁判所によって債権額が評価済の債権)の総額が3000万円を超え5000万円以下の場合には,一律無異議債権等の10分の1の金額が最低弁済基準となります。

次に,無意義債権等の総額が3000万円以下の場合は,金額に応じて以下のとおりの最低弁済基準となります(なお,下記の基準債権と無意義債権等とは,ほとんど重なりますので,大きな違いはないといってよいでしょう。)。

  • 基準債権額が100万円未満 → 基準債権の金額
  • 基準債権額が100万円以上500万円未満 → 100万円
  • 基準債権額が500万円以上1500万円未満 → 基準債権の5分の1
  • 基準債権額が1500万円以上 → 300万円

給与所得者等再生特有の不認可事由

給与所得者等再生においては,上記の民事再生・個人再生に共通する不認可事由のほかに,給与所得者等再生に特有の不認可事由があります。

  • 再生債務者が,給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しないか,またはその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないこと
  • 可処分所得要件を満たさないこと

可処分所得とは,平均年収額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要となる所得のことです。

給与所得者等再生においては,可処分所得の2年分の金額を3年間で返済しなければなりませんから,この金額を返済できるだけの収入がなければなりません。

そのため,開始要件と同様,認可決定の時点においても,収入が給与等の安定性の高い定期収入で,しかも,その定期的収入の変動幅が小さいものでなければならないとされています。

また,その収入は,法定の計算方法に基づいて算出される可処分所得の2年分を3年間で返済できるだけの収入である必要があります。これを可処分所得要件といいます。これを満たさなければ,給与所得者等再生は認められないことになります。

>> 個人再生の再生計画が不認可となる場合

給与所得者等再生の要件(まとめ)

給与所得者等再生の要件は前記のとおりです。しかし,前記のとおり,開始要件だけ満たしていても不認可事由があれば無意味です。その意味では,手続開始要件と不認可事由の両方を併せて,給与所得者等再生の要件として把握しておく必要があるでしょう。

具体的には,給与所得者等再生の要件は以下のようにまとめることができます。

  • 再生手続開始原因があること(支払不能のおそれなど)
  • 民事再生共通の再生申立棄却事由不認可事由がないこと
  • 個人であること
  • 再生債務者が,給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しないか,またはその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないこと
  • その収入が給与等の定期的で変動の小さい収入であること
  • 再生債権額が5000万円を超えないこと
  • 再生計画において最低弁済基準を満たしていること
  • 可処分所得の2年分を3年間で支払えるだけの収入があること

特にあらかじめ検討しておくべきなのは,反復継続して収入を得る見込みがあるかどうか,それが給与など定期的で変動の小さい収入であるといえるかどうか,その収入で最低弁済基準を超える可処分所得2年分の弁済が可能かどうか,再生債権額が5000万円を超えていないかどうかなどでしょう。

給与所得者等再生の要件に関連するページ

給与所得者等再生の要件についてより詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら,以下のページもご参照ください。

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