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法令解説【民法】

短期消滅時効とは?

消滅時効とは,一定期間の経過によって権利を消滅させるという制度です。通常の権利(債権)の消滅時効期間は,原則として10年とされています。

もっとも,権利の内容によっては,10年よりも短い期間で消滅時効が完成するものがあります。これを「短期消滅時効」と呼んでいます。

ここでは,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所が,この「短期消滅時効」とは何かについてご説明いたします。

(著者:弁護士 志賀 貴

なお,民法とはどのような法律なのかについては,民法の解説ページをご覧ください。その他個人の方の生活や中小企業の方の事業に関わる法令については,生活・事業に関わる法令紹介ページをご覧ください。

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短期消滅時効とは?

消滅時効とは,権利が行使されていないという事実状態を尊重して,一定期間の経過により,権利そのものを消滅させてしまうという法制度です。

消滅時効が完成するまでの消滅時効期間は,権利の内容によって異なりますが,もっとも消滅時効が問題となることの多い「債権」の消滅時効10年とされています。

たとえば,他人にお金を貸していたという場合,その貸金の返済期日(の翌日)から10年が経過すれば,貸金返還請求権という債権の消滅時効が完成し,これを借主が援用すると,原則として,消滅時効によって,貸主は借主に貸金の返還を請求することができなくなってしまいます(ただし,途中で時効中断の措置をとっていれば別です。)。

もっとも,権利の内容によっては,10年よりも短い消滅時効期間が設けられている場合があります。このような通常の消滅時効期間よりも短い時効期間を設けている消滅時効制度のことを「短期消滅時効」といいます。

以下では,この短期消滅時効の代表的なものをご紹介いたします。

民法上の短期消滅時効

民法においては,以下のような短期消滅時効が設けられています。具体的には,時効期間が1年のもの,2年のもの,3年のもの,5年のものがあります。

1年の短期消滅時効

  • 時給・日給など月給以下の単位の期間で定めた使用人の給料債権(174条1号。ただし,労働基準法による修正があります。労働基準法上の賃金に当たる場合は,消滅時効期間は2年となります。)
  • 労力の提供または演劇を業とする者の報酬・供給した物の代価の請求権(174条2号。ただし,これも上記と同様,労基法上の賃金であれば,消滅時効期間は2年となります。)
  • 運送賃に関する債権(174条3号。タクシーの運賃など。)
  • 旅館・料理店・飲食店・貸席・娯楽場の宿泊料,飲食料,席料,入場料,消費物の代価または立替金に関する債権(174条4号)
  • 動産の損料(174条5号。貸寝具・貸本・貸衣裳など短期間の動産の賃貸借の賃料。)
  • 遺留分減殺請求権(1042条)

2年の短期消滅時効

  • 弁護士・弁護士法人・公証人の職務に関する請求権(172条。たとえば,弁護士費用など。事件の終了の時から進行。)
  • 生産者・卸売商人・小売商人が売却した産物・商品の代価(売買代金)に関する請求権(173条1号)
  • 自己の技能を用いて注文を受け,物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権(173条2号。例としては,クリーニング店・理髪店・美容院・洋裁・和裁などの業種。)
  • 学芸又は技能の教育を行う者が,生徒の教育・衣食・寄宿の代価について有する債権(たとえば,173条3号。学校・塾・家庭教師などの生徒に対する授業料や教材費。)
  • 詐害行為取消権(426条)

3年の短期消滅時効

  • 医師の診療・助産師の助産・薬剤師の調剤に関する債権(170条1号。いわゆる診療費・調剤費など)
  • 工事の設計・施工・監理を業とする者の工事に関する債権(170条2号。工事の請負代金債権など)
  • 弁護士・弁護士法人・公証人が職務上預かった書類に関する責任(171条。弁護士・弁護士法人については事件終了時から,公証人については職務執行時から時効期間が進行。)
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権(724条)

5年の短期消滅時効

  • 取消権(126条)
  • 年・これより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権(169条。たとえば,地代・家賃など)
  • 親子間の財産管理に関する債権(832条)
  • 相続回復請求権(884条)

特別法上の短期消滅時効

民法以外の各種法律においても,短期消滅時効が設けられています。代表的なものとしては,以下のようなものがあります。

1年の短期消滅時効

  • 運送取扱人等の責任(商法566条)
  • 為替手形の所持人の振出人・裏書人に対する請求権(手形法70条)
  • 約束手形の所持人の裏書人に対する請求権(手形法77条)

2年の短期消滅時効

  • 労働者の使用者に対する賃金請求権(労働基準法115条)

3年の短期消滅時効

  • 為替手形の所持人の引受人に対する請求権(手形法70条)
  • 約束手形の所持人の振出人に対する請求権(手形法77条)

5年の短期消滅時効

  • 商事債権(商法522条)
  • 労働者の使用者に対する退職金請求権(労働基準法115条)

短期消滅時効に関連するページ

前記までにご紹介した以外の短期消滅時効に関連するページ・サイト等をご紹介いたします。短期消滅時効について詳しく知りたい方は,下記ページもご参照ください。

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