墓地埋葬法における「みなし墓地」とは?
墓地・霊園・納骨堂・火葬場等を経営するためには,「墓地,埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」第10条1項により,都道府県知事の許可を受けなければなりません。
もっとも,一定の場合には,実際に上記都道府県知事の許可を受けないでも,上記の都道府県知事の許可があったものとみなして,墓地等の経営ができるとされています。このような墓地等のことを「みなし墓地」といいます。
ここでは,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所が,この墓地埋葬法におけるみなし墓地とは何かについてご紹介いたします。
墓地埋葬法の「みなし墓地」とは?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
なお,墓地埋葬法とはどのような法律なのかについては,「墓地,埋葬等に関する法律とは?をご覧ください。
墓地等の経営許可
【墓地,埋葬等に関する法律 第10条】
第1項 墓地,納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない。
第2項 前項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し,又は墓地,納骨堂若しくは火葬場を廃止しようとする者も,同様とする。
墓地,埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)第10条1項によれば,墓地(霊園も含まれます。)・納骨堂・火葬場を経営するためには,その墓地等の所在地のある都道府県知事の許可が必要となります。
また,墓地等の経営を開始しようという場合だけでなく,すでに許可を得て経営を開始している墓地等を拡張・縮小などの変更・廃止しようとする場合にも,同条21項により,都道府県知事の許可が必要となります。
※ただし,現在では,墓地等の新設や拡張は,地方公共団体・公益法人・宗教法人しかすることができません。
これらの規定に違反して無許可で墓地等を経営・変更等した場合には,墓地埋葬法20条1号により,6か月以下の懲役または5000円以下の罰金という刑罰を科されることになります。
みなし墓地とは?
【墓地,埋葬等に関する法律 第26条】
この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地,納骨堂又は火葬場を経営している者は,この法律の規定により,それぞれ,その許可をうけたものとみなす。
上記墓地埋葬法26条が規定するとおり,墓地埋葬法の施行より前にすでに都道府県知事の許可を受けて墓地(霊園も含む。)・納骨堂・火葬場を経営していた場合には,前記同法10条の許可を受けたものとみなされます。
つまり,実際には,墓地埋葬法10条の許可を受けていなかったとしても,その許可を受けたものとして扱われるということです。この同法26条によって許可を得たものとみなされる墓地等のことを「みなし墓地」と呼んでいます。
なお,墓地埋葬法の施行期日は昭和23年6月1日ですから,その期日より前に都道府県知事の経営許可を受けていた場合に,みなし墓地として扱われることになります。
ただし,みなし墓地であるからといって何の手続もしないでよいというわけではありません。
たとえば,みなし墓地台帳への登録が必要であるなど,各市町村等の条例等によって,みなし墓地の取扱いについて定めがある場合がありますので,それには従う必要があります。
みなし墓地の拡張・変更・廃止
前記のとおり,みなし墓地に関しては,その墓地等を経営しようという際に,あらためて都道府県知事の許可をとる必要はありません。
もっとも,そのみなし墓地を新たに拡張するなどの変更を加えたり,廃止しようという場合は別です。この場合には,前記墓地埋葬法10条2項により,都道府県知事からの変更許可が必要となります。
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