自己破産における自由財産(まとめ)
破産手続は,破産者の財産を換価処分して債権者に弁済・配当するという手続ですから,原則として,自己破産をした場合には,有している財産を処分しなければならないことになります。
もっとも,個人の自己破産の場合には,最低限度の生活を確保するため,自己破産をしても処分しなくてもよい財産があります。この財産のことを「自由財産」といいます。
ここでは,この自由財産について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
(著者:弁護士 志賀 貴 )
東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所における個人の自己破産申立ての実績・経験やお取り扱いについては個人の自己破産申立ての経験豊富な弁護士をお探しの方へをご参照ください。
自由財産とは?
破産手続においては,破産者が有する財産を換価処分して,それによって得た金銭を債権者に弁済・配当していくことになります。
したがって,原則として,自己破産をした破産者は,その有する財産を処分しなければなりません。
もっとも,法人は破産によって消滅しますが,個人は破産をしたとしても消滅するわけではありません。破産をした後も,生活を続けていかなければなりません。
それにもかかわらず,個人の財産を全部処分してしまっては,破産した後の生活が立ち行かなくなってしまい,破産法の目的の1つである債務者の経済的更生を果たすことができなくなってしまいます。
そこで,個人の破産手続においては,生活の維持のために必要となる最低限度の財産は,破産によっても処分しなくてよいものとされています。
この処分しなくてよい財産のことを,破産者が自由に取扱ってよい財産という意味で「自由財産」と呼んでいます。
自由財産となる財産
どのような財産が自由財産となるのかについては,基本的に破産法をはじめとした法律によって定められています。
99万円以下の現金
「標準的な世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」(民事執行法131条3号)に規定する額に2分の3を乗じた額の現金は,自由財産とされています(破産法34条3項1号)。
標準的な世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭とは,66万円とされています(民事執行法施行令1条)。
これに2分の3を乗じた額ですから,具体的にいえば,99万円までの現金は自由財産となるということです。
上記のとおり,民事執行手続においては,66万円以下の現金は差押えが禁止されています。破産手続においては,債務者が確保できる現金の範囲を執行手続の場合よりも拡大して,99万円までは処分不要な財産としているのです。
なお,99万円までが自由財産となる金銭とは,あくまで「現金」ですから,預金や貯金などは含まれませんので注意が必要です。
差押禁止財産
民事執行法その他の法律によって差押えが禁止されている財産は,破産手続においても処分が不要な自由財産として扱われます(破産法34条3項2号)。
例えば,民事執行法131条に列挙されている動産,同法152条に列挙されている債権などが挙げられます。
また,各種年金・確定拠出年金受給権,生活保護給付受給権,中小企業退職金共済金受給権なども自由財産とされています。
自由財産の拡張が認められた財産
上記99万円までの現金や差押禁止財産以外の財産であっても,裁判所によって,自由財産として取り扱ってよいと認められた財産は,自由財産として扱われることになります。
これを「自由財産の拡張」といいます(破産法34条4項)。
自由財産の拡張が認められるかどうかは,やはり最低限度の生活に必要であるといえるかどうかが判断の基準となってくるでしょう。
なお,東京地方裁判所等では,一定の財産については,あらかじめ自由財産の拡張を認めるという基準(換価基準)が設けられており,この基準に該当する財産については,前記の99万円までの現金または差押禁止財産に当たらない場合であっても,当然に自由財産として扱われるという運用がなされています。
破産財団から放棄された財産
破産手続において,債権者への配当等の原資となる財産の集合体のことを破産財団と呼んでいます。この破産財団は,基本的に,破産者が有する財産(自由財産を除く)によって構成されることになります。
もっとも,財産によっては,換価処分するのが困難または不可能であったり,可能ではあるけれども,非常に廉価でしかも処分に時間がかかるなどの理由から,処分すること自体に費用対効果が見込めないというようなものもあります。
そのような財産については,破産管財人が換価処分をせずに,破産財団から破産者に戻すということがなされる場合があります。これを「破産財団からの放棄」といいます(破産法78条2項12号)。
この破産財団からの放棄がなされた財産は,以後,自由財産として扱われることになります。
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