LSC綜合法律事務所相談室イメージ

法令解説【民法】

時効の援用とは?

民事上の時効制度には,取得時効と消滅時効があります。この時効の効力を発生させるためには,単に一定の期間が経過したというだけではなく,時効の援用をしなければなりません。

ここでは,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所が,時効の援用とは何かについてご説明いたします。

なお,民法とは何かについては,民法の解説ページを,民法以外の個人の方の生活や中小企業の方の事業に関わる各種法令については,生活・事業に関わる法令紹介ページをご覧ください。

弁護士による法律相談のご予約は 042-512-8890

時効の援用とは?

民法 第145条

時効は,当事者が援用しなければ,裁判所がこれによって裁判をすることができない。

民事時効とは,法律で定められた一定期間(時効期間)の経過により,権利の発生・変更・消滅といった法的効果が生じる制度のことをいいます。民事時効には,取得時効と消滅時効があります。

もっとも,上記民法145条のとおり,時効には,当事者による「時効の援用」が必要であると規定されています。

すなわち,時効の援用とは,時効による利益を享受する旨の意思表示のことをいいます。要するに,取得時効や消滅時効の効果が生じていることを主張するということです。

>> 民事時効制度とは?

時効援用の法的性質

前記のとおり,民法145条は,時効が成立するには時効の援用が必要であるかのように規定されています。

ところが,民法162条や167条等をみると,一定の時効期間が経過すれば,当然に時効の効果が生じるかのようにも規定されています。

そこで,時効の効果は,時効の援用をしなければ生じないのか,それとも時効期間が経過すれば援用がなくても効果が生じるのかということが問題となってきます。

この問題をどのように考えるのかについては,時効制度の法的性質論(いわゆる時効学説)をどのように考えるのかと関連してきます。

確定効果説

確定効果説とは,時効期間が経過することによって時効の効力は確定的に発生するという見解です。

この見解によると,時効の援用は,実体法上の効果はなく,単なる訴訟法上の攻撃防御方法の提出にすぎないと考えることになります。

たしかに,確定効果説は,時効期間の経過によって時効成立とし,援用を攻撃防御方法にすぎないとしているため,明確で分かりやすい見解です。

しかし,確定効果説によると,時効の利益の放棄を訴訟において立証しきれなかった場合,時効の利益の放棄を希望しているにもかかわらず,時効の効力が発生してしまい,当事者の意思を尊重しようとしている法の趣旨に反するのではないかという批判があります。

訴訟法説

確定効果説をもっと突き詰めて考えたものが訴訟法説です。

訴訟法説は,時効制度を実体法的な制度ではなく単なる裁判の指針にすぎず,時効の援用は,時効期間の経過を証拠として裁判所に提出することにすぎないと考える見解です。

もっとも,民事時効制度を単なる訴訟法的な制度にすぎないと考えるのは,条文上無理があり,この見解によると,訴訟において実体的な権利関係と異なる事実関係を認定することになってしまうという批判があります。

不確定効果説(停止条件説)

そこで,時効制度はやはり実体法上の制度であるとしつつも,当事者の意思をできる限り尊重できるようにした見解が不確定効果説です。

不確定効果説とは,要するに,時効期間の経過によっても一応の効力は発生するけれども,その効力は,時効の援用や時効利益の放棄によって確定されるとする見解です。

この不確定効果説の1つに,停止条件説と呼ばれる見解があります。停止条件説とは,時効が完成しただけでも一応の効力が発生しますが,時効の援用によって確定的に時効の効力が発生するという見解です。

停止条件説によれば,時効援用があってはじめて時効の効力が確定的に発生するということになります。現在の判例・通説であり,実務も,この停止条件説を基本として動いているといってよいでしょう。

したがって,実務上,時効の効力を確定的に主張するためには,時効の援用をしておかなければならないということです。

時効の援用権者

前記のとおり,判例・通説である不確定効果説停止条件説によれば,時効の効力を主張するのであれば,時効の援用をしなければなりません。

もっとも,時効援用できる援用権者は,民法145条の「当事者」です。そこで,この当事者とはどのような人のことをいうのかという問題となります。

判例は,時効を援用できる当事者とは,時効によって直接に利益を受ける者(及びその承継人)という基準を示しています。

たとえば,取得時効の場合の占有者,消滅時効の場合の債務者,連帯債務者,保証人,連帯保証人などです。

ただし,判例は,上記のとおり直接に利益を受ける者という基準を示しながらも,それを緩やかに解して,援用権者の範囲を拡大しています。

そのため,物上保証人や抵当不動産の第三取得者なども,援用権者に含まれるとしています。

時効の援用に関連するページ

時効の援用に関連するページ・サイト等をご紹介いたします。興味のある方は以下のページ等もご覧ください。

弁護士による法律相談のご予約は 042-512-8890

この記事がお役に立ちましたらシェアお願いいたします。

LSC綜合法律事務所のご案内

各種法律問題で弁護士をお探しなら,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所にお任せください。法律相談・ご依頼をご希望の方は【 042-512-8890 】からご予約ください。

※なお,お電話・メール等によるご相談・ご依頼は承っておりません。当事務所にご来訪いただいてのご相談・ご依頼となります。あらかじめご了承ください。

LSC綜合法律事務所

LSC綜合法律事務所ロゴ

所在地:〒190-0022 東京都立川市錦町2丁目3-3 オリンピック錦町ビル2階
ご予約のお電話:042-512-8890

>>

代表弁護士 志賀 貴

日本弁護士連合会:登録番号35945(旧60期)
所属会:第一東京弁護士本部および多摩支部

>> 日弁連会員検索ページから確認できます。

アクセス

最寄駅:JR立川駅(南口)・多摩都市モノレール立川南駅から徒歩5~7分
駐車場:近隣にコインパーキングがあります。

※ 詳しい道案内は,下記各ページをご覧ください。

弁護士による法律相談のご予約は 042-512-8890

このページの先頭へ