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個人再生(個人民事再生)

個人再生の再生計画が不認可になる場合

個人再生手続の目的は,裁判所に再生計画を認可してもらうことにあります。もっとも,常に認可されるわけではありません。法定の不認可事由がある場合には,再生計画が認可されません。

したがって,借金の整理のために個人再生を選択するかどうかを決めるためには,どのような場合に再生計画が不認可となるのかということをあらかじめ検討しておく必要があります。

このページでは,個人再生の再生計画が不認可となるのはどのような場合なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

※東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所における個人再生の実績・経験やお取り扱いについては個人再生申立ての経験豊富な弁護士をお探しの方へをご参照ください。

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再生計画の不認可

借金などの債務整理の方法の1つとして「個人再生」を利用する方法があります。

個人再生手続において,裁判所から再生計画の認可決定をもらうことができれば,借金を減額した上で分割払いにしてもらうことができます。債務総額によっては,借金総額を5分の1以上減額してもらえる場合もあります。

もっとも,個人再生の申立てが受理され再生手続が開始されたからといって,必ずしも再生計画が認可されるとは限りません。法定の不認可事由がある場合には,再生計画は不認可とされてしまいます。

そのため,個人再生による債務整理ができるかどうかを考えるに当たっては,上記の不認可事由とはどのようなものなのかについて知っておく必要があります。

>> 個人再生の再生計画のQ&A

個人再生全般に共通する不認可事由

個人再生には,小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの種類の手続があります。この両者には,共通する不認可事由がいくつかあります。

個人再生とは,民事再生手続のうちで特に個人債務者を対象とする手続です。そのため,通常の民事再生における一般的な不認可事由は,個人再生においてもやはり不認可事由とされます。

この一般的な不認可事由は,小規模個人再生・給与所得者等再生のいずれの場合においても共通の不認可事由となるということです。一般的な不認可事由としては以下のものがあります。

  • 再生手続又は再生計画に重大な法律違反があり,しかも,その不備を補正することができないものであること
  • 再生計画遂行の見込みがないこと
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したこと
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反すること

小規模個人再生の再生計画が不認可となる場合

個人再生の1つである小規模個人再生においても,前記一般的な不認可事由が適用されますが,さらに,小規模個人再生特有の不認可事由として,以下のものがあります。

  • 債務者に継続的に又は反復して収入を得る見込みがないこと
  • 再生債権総額が5000万円を超えること
  • 最低弁済基準を下回っていること
  • 再生計画に不同意の再生債権者の頭数が総再生債権者の半数以上であることまたは不同意の債権者の債権額合計が総再生債権額の過半数であること

継続的に又は反復して収入を得る見込みがないこと(収入要件)

個人再生においては,減額・分割払いにされるとはいえ,債務の弁済を継続していく必要があります。したがって,その債務の弁済を継続していけるのかどうかということは最も重大な関心事です。

債務の弁済を継続していくためには,一時的に収入があるというだけでは足りず,継続的または反復して収入を得る見込みが必要となってきます。要するに,収入が安定していることが必要ということです。

継続的または反復して収入を得る見込みがない場合には,再生計画は不認可となります。裁判所でも,最も厳しくチェックされる要件です。

再生債権額が5000万円を超えること

再生債権が5000万円を超える場合も不認可となります。この金額には利息や遅延損害金も含まれます。ただし,住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローン債権の金額は含まれません。

なお,仮に5000万円を超えてしまっても,個人再生が利用できないというだけですので,通常の民事再生の利用は可能です。

最低弁済基準額を下回っていること

個人再生であってもいくらでも減額できるというわけではありません。減額できる金額の最低基準は法律で決められています。その最低金額が最低弁済基準額です。これを下回る場合も再生計画は不認可となります。

まず,無異議債権等(再生債権者から異議が出されなかった債権や裁判所によって債権額が評価済の債権)の総額が3000万を超え5000万円以下の場合には,一律に,無異議債権等の10分の1の金額が最低弁済基準となります。

次に,無意義債権等の総額が3000万円以下の場合は,その金額に応じて以下のとおりの最低弁済基準額となります(なお,下記の基準債権と無意義債権等とは,ほとんど重なりますので,大きな違いはありません。)。

  • 基準債権額が100万円未満 → 基準債権の金額
  • 基準債権額が100万円以上500万円未満 → 100万円
  • 基準債権額が500万円以上1500万円未満 → 基準債権の5分の1
  • 基準債権額が1500万円以上 → 300万円

再生債権者の消極的同意がないこと

小規模個人再生では,再生債権者の消極的同意が必要です。消極的同意とは,不同意でないということです。つまり,再生債権者から再生計画について一定の不同意がなされた場合には,その再生計画は不認可となります。

具体的には,再生計画に不同意の再生債権者の頭数が総再生債権者の半数以上である場合,または,不同意の債権者の債権額合計が総再生債権額の過半数である場合に不認可になります。

たとえば,再生債権額50万円の債権者A,100万円のB,200万円のC,300万円のD,400万円のEがいたとします。

この場合に,ABCが不同意であるとすると,債権額合計は350万円にすぎないものの,頭数としては3名であり,債権者総数の半数以上であるため,再生計画は不認可となります。

逆に,DEが不同意であった場合は,頭数としては2名なので半数以上ではありませんが,DEの債権額合計は700万円であり,債権総額の過半数であるため,再生計画は不認可となります。

>> 小規模個人再生の要件

給与所得者等再生の再生計画が不認可となる場合

個人再生の1つであ給与所得者等再生においても,前記の一般的な不認可事由が適用されますが,さらに,給与所得者等再生に特有の不認可事由として,以下のものがあります。

  • 再生債務者が,給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しないか,またはその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないこと
  • 再生債権総額が5000万円を超えること
  • 最低弁済基準を下回っていること
  • 可処分所得要件を満たさないこと

給与等の定期的・変動幅の小さい収入がないこと

給与所得者等再生は,再生計画における弁済の履行が確実といえる場合に,債権者の意向に左右されずに(小規模個人再生のように債権者の不同意によって不認可とはされないということです。)再生計画をするという類型です。

それだけに,小規模個人再生の場合よりもさらに安定的な収入が求められることになります。

具体的には,手続名からも分かるとおり,給与収入があることが原則とされています。給与とはいえない収入の場合には,給与に類するような定期的でしかも金額の変動幅が小さい収入でなければなりません。

再生債権総額が5000万円を超えること

前記の小規模個人再生の場合と同様,再生債権が5000万円を超える場合も不認可となります。この金額には利息や遅延損害金も含まれます。ただし,住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローン債権の金額は含まれません。

最低弁済基準を下回っていること

これも前記の小規模個人再生の場合と同様です。再生計画上の弁済額が法定の最低弁済基準額を下回る場合には,やはり不認可となります。

可処分所得要件を満たさないこと

給与所得者等再生においては,小規模個人再生と異なり,再生計画上の弁済額は,最低弁済基準額を超えるだけでは足りず,さらに,可処分所得の2年分以上でなければならないとされています。

可処分所得の金額の計算方法は,民事再生法241条2項7号・3項および「民事再生法第241条第3項の額を定める政令」に規定があります。

もっとも,東京地方裁判所等では,可処分所得算出シートというものが用意されており,これを利用すれば,容易に可処分所得額を算出することが可能です。

>> 給与所得者等再生の要件

個人再生の再生計画不認可に関連する記事

個人再生の再生計画不認可についてより詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら,以下のページもご参照ください。

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