個人再生(個人民事再生)と自己破産の違い
裁判所を利用する債務整理の方法として,「個人再生」と「自己破産」の手続があります。いずれも借金返済・多重債務の問題の解決に非常に有効です。
もっとも,個人再生と自己破産にはそれぞれにメリット・デメリットなどにおいて異なる点があります。したがって,どちらを選ぶべきかについては,両手続についてある程度理解しておく必要があるでしょう。
このページの以下では,個人再生と自己破産の違いについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
個人再生(個人民事再生)と自己破産の違い
(著者:弁護士 志賀 貴 )
※東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所における個人再生の実績・経験やお取り扱いについては個人再生申立ての経験豊富な弁護士をお探しの方へをご参照ください。
個人再生と自己破産
借金返済・多重債務の問題の法的な解決方法として,「個人再生」と「自己破産」があります。
自己破産は,一般的にも知られている制度ではないかと思われます。一定の財産を換価処分する代わりに,それでも支払いきれない借金などの債務の支払い義務を免れることができるという制度です。
個人再生は,この自己破産と同様に,裁判所を利用して借金返済問題を解決しようという法的手続です。
したがって,個人再生と自己破産には,裁判所による手続であるということ,借金返済・多重債務解決に有益であるという共通点があります。
もっとも,個人再生の手続は,そもそも,自己破産において生ずる不都合を考慮して,個人の借金返済問題の解決に資するように制定されたものであることから,自己破産とは異なる,さまざまな違いがあります。
>> 個人再生とは何かのQ&A
返済の要否における違い
自己破産の場合,破産手続と並行して行われる免責手続において,裁判所から免責許可決定がなされると,借金などの支払義務が免除されます。
つまり,原則として,借金等をすべて返済する必要がなくなるということです(なお,税金などは免責されません。)。
他方,個人再生の場合には,自己破産の場合と異なり,一定の返済を継続していく必要があります。
もっとも,借金などの債務の全額を支払わなければならないわけではなく,減額された金額を3年間の分割払いで支払っていくことになります。
個人再生における減額率は,選択する手続の内容や債務の金額等によって異なってきますが,5分の1程度にまで減額されます(ただし,最低100万円まで。)。
債務額が大きい場合には,10分の1まで減額されることもあります。
>> 個人再生の減額率とは?
財産の処分における違い
自己破産の場合,債務者は,一定の財産を処分しなければなりません。
個人の自己破産の場合であれば,自由財産は処分しなくてもよいものとされていますが,それでも,ある程度の財産は処分しなければならないものとされています。
他方,個人再生の場合には,財産の処分は求められません。したがって,個人再生の場合には,原則として,財産を処分せずに,債務整理することが可能です。
財産のうちでも特に大きなものとして不動産があります。不動産を処分せずに債務だけを整理するということは,現実問題として困難です。
したがって,自己破産の場合であれ,個人再生の場合であれ,不動産は原則として処分が求められることに違いはないでしょう。
ただし,住宅ローンが残っている自宅不動産については,自己破産の場合には必ず処分が必要となりますが,個人再生の場合には,住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という特別の制度を利用すれば,自宅を残したまま他の債務だけ整理することが可能な場合があります。
>> 住宅ローンの残っている自宅を処分せずに債務整理する方法
免責不許可事由における違い
自己破産の場合,債務者に免責不許可事由があると免責が認められないことがあります。たとえば,ギャンブルで借金を増やしてしまった場合などです。
他方,個人再生の場合には,免責不許可事由のような制度はありません。したがって,個人再生の場合には,仮にギャンブルで借金を増やしてしまったなどの事情があったとしても利用することができます。
資格制限における違い
自己破産の場合には,資格制限と呼ばれる制限があります。つまり,自己破産の手続中は,一定の資格を利用した仕事(たとえば,警備員・保険外交員など)ができなくなることがあります。
他方,個人再生の場合には,資格制限はありません。したがって,個人再生の場合には,手続中であっても,資格を使った仕事を継続することが可能です。
個人再生と自己破産の違いのまとめ
自己破産と個人再生の違いを簡単にまとめると,自己破産は財産を処分する代わりに債務を全額免除することができる制度であるというのに対し,個人再生は一定の返済をしなければならないものの,財産の処分や各種の制限なく利用できるというように言えるでしょう。
どちらの手続が有益なのかということは,一概にはいえません。個々のご事情によってどちらを選択すべきかは異なってきます。
しかし,一定の返済が必要とはいえ,大幅な減額が可能であり,財産処分などの制限がなく,免責不許可事由があっても利用でき,しかも,住宅資金特別条項という自宅を残せる可能性のある制度も用意されている個人再生という手続には,大きなメリットがあることは間違いありません。
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