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交通事故損害賠償の基礎知識

交通事故の加害者が損害賠償責任を負う法的根拠とは?

交通事故の加害者は,民事責任として損害賠償の支払義務を負うことになります。ここでは,交通事故加害者が負う損害賠償責任の法的根拠はどこにあるのかについてご説明いたします。

交通事故の加害者が損害賠償責任を負う法的根拠とは?

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交通事故加害者の民事責任

交通事故を起こし,他人の身体・生命または財産に損害を与えた場合,その加害者は,刑事責任・行政上の責任・民事責任といった法的な責任を課されることになります。

このうち刑事責任と行政上の責任は,公益的見地から課される法的責任ですから,被害者に対して責任を負うという性質のものではありません。

加害者が,被害者の方に対して負う法的責任とは民事責任です。具体的にいえば,損害賠償を支払わなければならないという責任です。

>> 交通事故加害者が負う民事責任

不法行為責任

それでは,どうして加害者が損害賠償責任を負うことになるのでしょうか?その法的な根拠は「不法行為責任」です。

民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

不法行為責任とは,上記条文のとおり,故意または過失によって他人の権利や法的に保護される利益を侵害した者に課される法的責任です。

この不法行為責任を負う者は,被害者に対して損害賠償を支払う義務を負うことになります。

交通事故も不法行為に当たります。そのため,交通事故の加害者は,不法行為責任を負うことになり,被害者に損害賠償を支払わなければならないのです。

他方,被害者の側から見ると,被害者は,加害者に対して損害賠償を請求する権利を持つことになります。これを「不法行為に基づく損害賠償請求権」と呼ぶことがあります。

特殊の不法行為責任

交通事故の損害賠償を請求できる相手方は,基本的には直接の加害者です。もっとも,その直接の加害者以外の人に対しても,損害賠償を請求できるという場合もあります。

例えば,未成年者など自ら法的責任を負うことのできない責任無能力者が加害者である場合に,その責任無能力者の監督義務者が損害賠償責任を負う場合があります。監督義務者の責任と呼ばれるものです。

また,従業員が交通事故を起こした場合,その事故が事業の執行によるものであったときには,その従業員の使用者(雇用主)が損害賠償責任を負うということもあります。これは,使用者責任と呼ばれます。

これらの責任の法的根拠も,やはり不法行為責任です。もっとも,直接の不法行為者(加害者)以外の者が不法行為責任を負うという特別な不法行為責任です。特殊の不法行為責任と呼ばれる場合もあります。

>> 誰に対して損害賠償を請求すればよいのか?

運行供用者責任

交通事故のうちでも自動車事故の人身事故の場合には,自動車損害賠償保障法(自賠法)により,加害者等に対して「運行供用者責任」という法的責任が課される場合があります。

自動車損害賠償保障法3条
自己のために自動車を運行の用に供する者は,その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは,これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし,自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと,被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは,この限りでない。

この運行供用者責任は,直接の加害者はもちろん,それ以外に「自己のために自動車を運行の用に供する者(運行供用者)」に対しても損害賠償義務が課されることになります。

運行供用者の典型例としては,自動車の所有者などが挙げられます。

また,運行供用者責任は,通常の不法行為責任よりも,被害者側の立証責任が軽減されています。

通常の不法行為に基づく損害賠償請求の場合,被害者が,加害者に過失があったことを立証しなければなりませんが,これは容易ではありません。

しかし,運行供用者責任の場合には,被害者保護の拡大の見地から,被害者が過失を立証する必要はなく,逆に,加害者側の方で過失がなかったことを立証しなければならないものとされ,立証責任の転換がなされています。

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