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交通事故損害賠償の基礎知識

運行供用者責任における立証責任の転換とは?

運行供用者責任においては,被害者保護のため,立証責任の軽減措置として立証責任の転換がはかられています。

ここでは,この運行供用者責任における立証責任の転換について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

なお,弁護士によるご相談については,交通事故損害賠償請求の法律相談・ご依頼のページをご覧ください。

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一般不法行為における立証責任

交通事故の損害賠償請求とは,法的にいえば,不法行為に基づく損害賠償請求です。

この不法行為責任が成立するためには,以下の要件を満たしている必要があります。

  • 被害者の権利または法律上保護される利益を侵害したこと(交通事故を起こしたこと)
  • 侵害行為が故意または過失に基づくものであること
  • 被害者に損害が発生したこと
  • 侵害行為と損害発生との間に因果関係があること

実際に損害賠償を請求する場合には,これらの要件に該当する具体的な事実(要件事実)を証拠によって証明(立証)する必要があります。

では,誰が要件事実を立証しなければならないのかというと,一般不法行為責任の場合には,被害者が立証しなければならないとされています。

仮に,これらの立証に失敗した場合,被害者からの損害賠償請求は認められないということになります。

このように,当事者の一方がある事実について立証できなければ敗訴等の不利益を負うことになるという立証の負担のことを「立証責任」と呼んでいますが,不法行為に基づく損害賠償請求の場合には,被害者が全面的に立証責任を負担することになるのです。

しかし,上記4つの要件に該当する事実をすべて立証するというのは,なかなか容易ではありません。特に,過失を立証するのは非常に難しいという場合があります。

そのような場合に,過失等を立証できないからといって,被害者からの損害賠償請求はまったく認められないとするのは,被害者保護に反するということになりかねません。

そこで,被害者保護のために,運行供用者責任においては,立証責任の軽減措置として,立証責任の転換が図られています。

運行供用者責任における立証責任

運行供用者責任が成立するためには,以下の要件を満たしている必要があります。

  • 自己のために自動車を運行の用に供する者であること
  • 自動車を運行したこと
  • 他人の生命・身体を侵害したこと
  • 運行と生命等侵害との間に因果関係があること
  • 運行供用者が,自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと,被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと,自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明しなかったこと

上記のとおり,運行供用者責任の成立要件には,過失の要件が含まれていません。つまり,被害者が過失を立証しなくてもよいということです。

その代わりに,加害者の方で「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと」「被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと」「自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと」の3つの免責要件を立証しなければならないとされています。

この免責要件を3つとも立証できれば,加害者は損害賠償責任を免れることができます。加害者に免責要件の立証責任が課されているということです。

つまり,運行供用者責任においては,被害者が「過失があること」を立証しなくてよいとする反面,加害者が「免責要件があること」を立証しなければならないということにして,立証責任の負担を被害者から加害者に転換させているのです。

立証責任の転換と相対的無過失責任

前記のとおり,運行供用者責任においては,立証責任の転換がはかられています。

したがって,被害者は,過失の立証責任を負担せずに済みますから,その立証責任は大幅に軽減されることになります。

その意味で,運行供用者責任は,過失がなくても加害者が責任を負担する無過失責任に近いものがあります。

もっとも,運行供用者責任は,一定の免責要件を立証できれば,加害者も運行供用者責任を免れることができますから,無過失責任そのものとはいえないでしょう。

そのため,相対的無過失責任と呼ばれることがあります。

>> 運行供用者責任とは?

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