傷害事故(後遺障害なし)における慰謝料請求とは?
交通事故によって傷害を負った場合,財産的な損害だけでなく,精神的な損害の賠償として,慰謝料を請求できます。ここでは,後遺障害がない傷害事故における慰謝料請求についてはご説明いたします。
傷害事故(後遺障害なし)における慰謝料請求とは?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
なお,弁護士によるご相談については,交通事故損害賠償請求の法律相談・ご依頼のページをご覧ください。
傷害事故における慰謝料請求
交通事故によって傷害を負った場合,被害者は,財産的な損失を負うだけでなく,精神的な苦痛も被ることになります。
そのため,人身・傷害事故においては,財産的な損害だけでなく,精神的な損害の賠償を請求することもできます。具体的にいえば,慰謝料を請求できるということです。
もっとも,どの程度の精神的な苦痛を被ったのかというのは,個々人によって違いますし,何より,人の内心に関わることですから,個別に客観的な判定をすることが困難です。
とはいえ,判定が困難だといって精神的な損害を認めないというのも,被害者の保護に反するでしょう。
そこで,慰謝料の金額については,これまでの事例の蓄積等によって,法律または実務上,一定の基準が設けられています。
この傷害事故における慰謝料の算定の基準は,自賠責・各任意保険・裁判でそれぞれ基準が異なります。
自賠責保険の支払基準
自賠責保険の場合には,「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金の支払基準」によって,金額の算定基準や支払方法が定められています。
具体的には,治療期間1日当たり4200円で計算されます。この治療期間は,入院日数及び実際の通院日数の2倍程度以内とされます。
慰謝料金額 = 4,200円 × 治療日数
例えば,入院日数20日,実際の通院日数10日,治療期間が50日の場合,入院日数と実際の通院日数は30日ですから,その2倍である60日以内であれば,治療期間として認められます。
したがって,このケースの場合,治療期間が50日ですので,全日数が算定の基礎として認められ,4200円 × 50日 = 21万0000円 が慰謝料として認められるということになります。
任意保険における交渉基準
任意保険については,かつては,日本損害保険協会による統一基準がありましたが,現在では,保険の完全自由化が認められていますので,各保険会社によって慰謝料の支払い基準が異なっています。
したがって,金額の算定については,各保険会社の慰謝料基準をご参照ください。
ただし,実際には,自賠責保険基準よりも高額ではあるものの,後記の裁判基準よりはかなり下回っているのが通常でしょう。
ADRにおける基準
交通事故の損害賠償請求については,各種の裁判外紛争解決機関(ADR)を利用して,示談のあっせん等をしてもらうという方法もあります。
このADR等については,特に基準は設けられていません。また,強制力があるわけではないので,その合意内容はまちまちですが,裁判基準の8割程度で合意をする場合が多いということです。
ただし,場合によっては,裁判基準に近い裁定がなされることもあるようです。
裁判基準(弁護士基準)
裁判における慰謝料の金額の基準は,日弁連交通事故相談センター東京支部編の「損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)」や日弁連交通事故センター編の「交通事故損害額算定基準(通称「青い本」)」に記載されている基準が用いられるのが一般的です。
これらはいずれも,自賠責保険等と同様に入院日数及び通院日数に応じて慰謝料金額を算定しています(そのため「入通院慰謝料」と呼ばれています。)。
金額的には,上記自賠責保険・任意保険交渉・ADRの基準のいずれにも上回る金額となっています。
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