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交通事故損害賠償請求

交通事故の損害論に関するよくあるご質問・Q&A

交通事故の被害者が加害者に対して賠償を請求する場合,どのようなものを「損害」としてその賠償を請求できるかということは,交通事故損害賠償において最も大きな問題となるところです。

この議論のことを「損害論」と呼ぶ場合があります。

ここでは,交通事故による損害賠償請求における損害とは何かに関してよくあるご質問ついて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所が,Q&A形式でお答えいたします。

交通事故の損害論のQ&A

なお,弁護士によるご相談については,交通事故損害賠償請求の法律相談・ご依頼のページをご覧ください。

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損害論

Q. 損害がなければ,賠償請求できないのでしょうか?
A. はい。損害の賠償を求めるわけですから,当然のことながら,「損害」がなければなりません。
Q. 賠償を請求できる損害には,どのようなものがあるのでしょうか?
A. 経済的・財産的な損害だけでなく,精神的苦痛を受けたという精神的な損害も賠償の対象となります。経済的な損害は,大きく分けると,積極損害と消極損害とがあります。
Q. 財産的損害にはどのようなものがありますか?
A. 財産的損害としては,交通事故によって財産が減少したという損害(積極損害)と交通事故によって利益を得られなくなったという損害(消極損害)があります。
Q. 精神的損害とは何ですか?
A. 精神的損害とは,交通事故によって生じた精神的苦痛のことです。
Q. 損害の金額には,何か基準があるのでしょうか?
A. 各任意保険会社は,それぞれに損害賠償額の基準を持っています。また,裁判の場合には,これまでの裁判例の積み重ねによって,ある程度の基準が設けられています。裁判基準については,「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部)という本(通称「赤い本」)にまとめられています。実務上は,この赤い本が,裁判所でも参考にされています。
Q. 赤い本の基準は,実際の裁判でどの程度参考にされているのでしょうか?
A. 赤い本は参考図書の1つですが,実際の裁判では,裁判官も大いにこれを参考としており,赤い本の基準がそのまま裁判(訴訟)における判断のベースとなっていると言ってよいと思います。実務上は,この赤い本の基準をベースとして,個々の事案に応じて増減させて調整するという形になっています。
Q. 裁判基準と保険会社の基準では金額が異なってくるのでしょうか?
A. はい。自賠責保険基準 < 任意保険会社基準 < (ADR基準) < 裁判基準 の順で金額が高額になるのが一般的です(詳しくは,交通事故損害賠償の3つの基準をご覧ください。)。

積極損害(治療費・入院費など)

Q. 積極損害とは何ですか?
A. 積極損害とは,交通事故に遭わなければ発生しなかった財産の減少・支出のことをいいます。
Q. 病院の治療費や入院費を,損害として請求できますか?
A. はい。病院の治療費や入院費も損害として賠償請求できます。争いもないといってよいでしょう。
Q. 入院の際に必要となった雑費を,損害として請求できますか?
A. はい。入院雑費も損害として賠償請求できます。裁判では,入院1日当たり1500円が基準とされています。
Q. 入院中,家族に付き添い看護をしてもらっていましたが,この付添看護についても何らかの請求はできますか?
A. はい。付添看護の必要性がある場合(医師の指示がある場合など)には,付添看護費も損害として請求できる場合があります。家族の付添の場合,裁判では,付添1日当たり6500円が基準とされています。
Q. 病院に通院するための交通費を,損害として請求できますか?
A. はい。通院交通費も損害として賠償請求できる場合があります。ただし,公共交通機関や自家用車の利用による交通費が原則とされます。自家用車の場合にはガソリン代ということになります。もっとも,タクシーを利用すべき必要性があれば,タクシー代も損害として認められる場合があります。
Q. 交通事故の傷害がもとで体に器具を付けなければならなくなりました。この器具の購入費も請求できますか?
A. はい。医師の指示・指導による器具の装着であれば,損害として認められるでしょう。例えば,義眼・義手・メガネなどが挙げられます。
Q. 交通事故で重度の後遺障害が残り,継続的な看護が必要な状態となりました。この場合,将来の付添看護費用も請求できますか?
A. 後遺障害が重度で,医師の指示があるなど将来にわたって継続的な付添看護の必要性がある場合には,将来の付添看護費も損害として請求できる場合があります。その場合,裁判では,付添1日当たり8000円が基準とされています。
Q. 交通事故で重度の後遺障害が残り,自宅をバリアフリーの家に改築しなければならなくなりました。この場合,自宅の改築費も請求できますか?
A. 自宅改築費用なども,後遺障害の内容などからして改築をしなければ日常生活が送れないなどの事情がある場合には,損害として請求できる場合があります。
Q. 死亡事故の場合,葬儀費用を請求することはできますか?
A. はい。葬儀費用も損害として賠償請求できます。ただし,裁判基準でも,最大で150万円ほどとされています。
Q. 弁護士に依頼して交通事故の訴訟をした場合,弁護士費用を損害として請求できますか?
A. はい。交通事故訴訟では,請求認容額の1割程度が弁護士費用相当の損害として認められる傾向にあります。

消極損害(休業損害)

Q. 消極損害とは何ですか?
A. 消極損害とは,本来ならば得られたはずの利益を,交通事故によって得られなかった場合に,その失った利益を消極損害と呼んでいます。積極損害が,支出しなくてよいはずのものを支出した場合であるのに対し,消極損害は,得られたはずのものを得られなかったというものです。
Q. 休業損害とは何ですか?
A. 休業損害とは,交通事故で仕事ができなくなり休業を余儀なくされたために得られなかった休業している間の収入のことを休業損害といいます。
Q. サラリーマンの場合,休業損害はどうやって計算するのですか?
A. サラリーマンなど給与所得者の休業損害は,裁判基準の場合,「 交通事故前3か月分の収入 ÷ 90日 × 休業日数 」で算出するのが通常です。
Q. 自営業者の場合,休業損害はどうやって計算するのですか?
A. 自営業者・個人事業者の休業損害は,裁判基準の場合,「 交通事故前年度収入 ÷ 365日 × 休業日数 」で算出するのが通常です。
Q. 専業主婦の場合でも休業損害を請求できますか?
A. はい。専業主婦であっても,実収入がある場合にはそれを,無い場合には厚生労働省の賃金センサスの全年齢平均額を基準とし,それらに基づいて算定した休業損害を請求できる場合があります。
Q. 学生の場合でも休業損害を請求できますか?
A. いいえ。児童・学生などについては基本的に休業損害は認められていません。ただし,アルバイトをしている場合などには認められる場合があり得ます。

消極損害(逸失利益)

Q. 逸失利益とは何ですか?
A. 逸失利益とは,交通事故で後遺障害が残ったりまたは死亡したことによって,将来的に働くことができなくなった場合に,交通事故がなければもらえたはずの収入のことを逸失利益といいます。
Q. 逸失利益はどうやって計算するのですか?
A. 逸失利益については,裁判基準の場合,後遺障害逸失利益であれば「 基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数 」で,死亡逸失利益であれば「 基礎収入額 × ( 1 - 生活費控除率 ) × 就労可能年数に応じたライプニッツ係数 」で算出することになります。
Q. サラリーマンの場合,逸失利益の基礎収入はどうやって計算するのですか?
A. サラリーマンなど給与所得者の逸失利益は,実際の給与明細や源泉徴収票に記載された金額が基準となります。賞与・ボーナスも含まれるのが一般的です。
Q. 自営業者の場合,逸失利益の基礎収入はどうやって計算するのですか?
A. 自営業者・個人事業者の逸失利益は,実際の確定申告書や課税証明書(納税証明書)に記載された金額が基準となります。
Q. 専業主婦の場合,逸失利益の基礎収入はどうやって計算するのですか?
A. 専業主婦の逸失利益は,厚生労働省の賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・男女別全年齢平均額を基準とすることになります。
Q. 児童や学生の場合,逸失利益の基礎収入はどうやって計算するのですか?
A. 児童や学生の逸失利益は,厚生労働省の賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・男女別全年齢平均額を基準とすることになります。
Q. 労働能力喪失率とは何ですか?
A. 労働能力喪失率とは,後遺障害によって労働能力を喪失した程度のことをいいます。さまざまな要素を考慮して,一定の数値が定められています。
Q. 労働能力喪失期間は,何歳までの期間ですか?
A. 18歳から67歳までの期間が労働能力喪失期間とされています。18歳を超える年齢で交通事故に遭った場合には,その事故による障害の症状固定時の年齢から67歳までということになります。ただし,高齢者の場合には,平均余命の2分の1の年数が労働能力喪失期間となる場合もあります。
Q. 生活費控除率とは何ですか?
A  交通事故で死亡した場合,被害者の方については,収入もなくなりますが,反対に,生活費の支出もなくなります。そのため,逸失利益から生活費に支出するはずだった分が差し引かれることになります。この控除される生活費は,一定の割合が定められています。これを生活費控除率と呼んでいます。
Q. 就労可能年数とは,何歳までの期間ですか?
A. 18歳から67歳までの期間が就労可能年数とされています。18歳を超える年齢で交通事故に遭った場合には,その事故による死亡の年齢から67歳までということになります。ただし,高齢者の場合には,平均余命の2分の1の年数が就労可能年数となる場合もあります。
Q. ライプニッツ係数とはどのようなものですか?
A. 将来の逸失利益は原則として一括して事前に受け取ることになりますが,この場合に逸失利益をそのまま計算すると,支払者側の運用利益まで奪うことになり不公平となることから,中間利息を控除した金額を逸失利益の金額とする必要性があります。その中間利息を控除するための係数の1つをライプニッツ係数といいます。中間利息控除の係数には,他にもホフマン係数などがありますが,交通事故の逸失利益の場合には,このライプニッツ係数が一般的に用いられています。

慰謝料

Q. 慰謝料とは何ですか?
A. 交通事故による損害賠償では,財産的な損害だけでなく,交通事故によって被った精神的な苦痛についても,精神的損害の賠償として請求できます。この精神的損害の賠償のことを慰謝料といいます。
Q. 慰謝料の金額はどのように決められるのでしょうか?
A. 慰謝料の金額については,傷害の程度,後遺障害の程度,死亡事故か否かなどによって異なります。もっとも,実務上は,過去の裁判例の蓄積によって,それぞれに一定の基準が設けられています。
Q. 遺族も,遺族自身の精神的損害を慰謝料として請求できますか?
A. 死亡事故の場合,近親者については固有の慰謝料が認められる場合があります。

交通事故損害論の主体の関連ページ

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