法律要件・法律効果とは?
法律が適用されると,その法律に定められた法律効果が発生することになりますが,この法律効果を発生するためには,法律で定められた法律要件を満たしていなければなりません。
ここでは,法律要件・法律効果とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明していきます。
(著者:弁護士 志賀 貴 )
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法律の意義
ある一定の集団があれば,その中では必ずと言ってよいほど何らかの紛争が起きます。社会という集団においても,それは同じです。
しかし,その紛争の解決を個々人に任せていては,力の強い者だけが必ず勝つという,非常に不公平,不平等な結果が生じることは目に見えています。そこで,集団生活を規律するルールが必要となってきます。
そのルールの1つが法律です。つまり,法律とは,社会または国家という集団におけるルールを定めるものなのです。
そして,この法律というルールは,ときに我々の人権・権利を守ってくれますが,逆に我々の行為を禁止または制限するという拘束力も持っています。
法律効果
法律がルールであるとしても,それに何らの効力もないものであれば,意味はありません(ただし,法律の規定の中には訓示的規定という効力のない規定もあります。)。
そこで,法律の規定は,基本的に,ある一定の条件を満たした場合には,ある一定の効力が発生するという形式で定められています。
この法律が適用されることによって生じる効力のことを「法律効果」といいます。単純に「効果」と呼ばれることもあります。
法律効果が発生すると,当該法律規定の適用対象となる各人に権利または義務が発生し,または変更されたり(変更ではなく,権利義務の発生が妨げられると考える見解もあります。),消滅することになります。
法律が適用されるということは,つまり,これらの法律効果が生じるということです。
法律の適用によって紛争を解決しようという場合には,この法律効果の発生(または法律効果の不発生)を目指すということになります。
法律要件
法律効果を発生させるためには,その効果を定める法律で規定されている一定の条件を満たす必要があります。
この法律効果を発生させるための条件のことを「法律要件」といいます。単に「要件」と呼ばれる場合もあります。
前記のとおり,法的に紛争を解決するためには,自己に有利な法律効果が生じるように活動しなければなりません。
それはすなわち,それらの法律効果を生じさせるための条件である法律要件を満たすように活動しなければならないということです。
したがって,実際の実務では,まず問題を解決するためにはどのような法律の規定があるのかを考え,その規定にはどのような法律効果があるのかを確認し,さらに,その効果を生じさせるためにはどのような法律要件が必要となるのかを検討する必要があります。
なお,法律要件というものは非常に抽象的です。そのため,裁判等においては,法律要件そのものではなく,法律要件に該当する具体的な事実(要件事実や構成要件該当事実)を主張・立証することになります。
具体例
民法などの民事系の法律の場合には,要件を満たした場合に,権利の発生・変更・消滅という効果が発生します。
たとえば,民法90条には「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は,無効とする。」という規定があります。
この規定の場合,「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為」という要件を満たした場合には,その法律行為が「無効」となるという効果が発生します。
刑法などの刑事系の法律の場合は,構成要件・違法性・責任という法律要件を満たすと,刑罰という法律効果が発生することになります。
たとえば,刑法199条には「人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」という規定があります。
この規定の場合は,「人を殺した者」という要件を満たせば,それが違法性・責任があるものである限り,「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」という効果が生じることになります。
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