刑事手続・刑事事件と民事手続・民事時事件の違い
裁判手続は,大きく分けると,「刑事事件」を取り扱う「刑事手続」と「民事事件」を取り扱う「民事手続」に分かれます。家事事件を取り扱う家事手続も民事手続に含まれます。
ここでは,刑事手続・刑事事件と民事手続・民事時事件の違いについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明していきます。
刑事手続・刑事事件と民事手続・民事時事件の違い
(著者:弁護士 志賀 貴 )
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裁判において取り扱われる事件
裁判にはいろいろな区別や分類の仕方がありますが,取り扱う事件の内容・性質による分類も可能です。
この事件の内容・性質による分類もさまざまですが,最も大きく分類するのであれば,刑事手続と民事手続に分けることができるでしょう。
すなわち,刑事手続とは刑事事件を取り扱う裁判手続であり,民事手続とは民事事件を取り扱う手続であるというように分類できます。
刑事事件と刑事手続
刑事事件とは,簡単に言うと,犯罪行為に関する事件です。そして,これを取り扱うのが刑事手続です。
具体的にいうと,刑事手続とは,犯罪事実を明らかにして犯人を確定し,その犯人に対していかなる刑罰を科すべきかを判断するための捜査・裁判手続のことをいいます。
たとえば,ある人が何らか行為をしたとします。
その行為が犯罪に該当するのかどうか,犯罪に該当するとして刑罰を科すべきかどうか,どのような刑罰を科すべきなのかなどを判断するために行われる手続が刑事手続であり,その刑事手続のうちでも,その行為が犯罪であるかどうかを確定するための裁判が刑事裁判ということです。
刑罰を科すという法的効果を生じさせる手続ですから,刑事手続は国家権力の作用そのものといえます。
よくテレビドラマの題材として,弁護士が法廷で容疑者を弁護する様子が描かれていますが,これは刑事事件を扱ったものです。
そういう意味で,一般の人がイメージする裁判というと,だいたいは刑事手続・刑事裁判ではないかと思われます。そして,この刑事手続において容疑者(被疑者)の弁護を行う弁護士の活動を刑事弁護といいます。
民事事件と民事手続
これに対して,民事事件とは,私人間の紛争です。たとえば,お金の支払いが問題となるような行為,物の引渡しが問題となるような行為を対象とする事件のことをいいます。
この民事事件を取り扱うのが民事手続です。民事手続は,あくまで私人間の紛争を解決するための手続ですから,裁判所という国家権力の関与はありますが,国家権力の作用そのものではありません。
民事手続において,弁護士が当事者を代理することを民事弁護といいます。
刑事手続と民事手続の違い
民事事件は,あくまでお金を払えとか,物をよこせとか,犯罪を扱う刑事事件とは別次元のところで行われるものです。
したがって,例えば,AさんがBさんに殴られ大怪我を負ったので,Bさんの行為が傷害罪という犯罪に該当するとして刑事裁判にかけられ,その結果,刑罰を受けたとします。これは刑事事件です。
しかし,Aさんとしては,Bさんに対して治療費用や損害賠償を請求したいでしょう。
Aさんは,Bさんが刑事事件で刑罰を受けたとしても,治療費用や損害賠償金をBさんに支払えと請求することができます。このお金を払えという事件は,民事事件になります。
そして,この刑事事件と民事事件は,刑事手続と民事手続という,まったく別個の手続として行われるのです(例外的に刑事手続内で損害賠償等を定める手続もあります。)。
無論,刑事事件にもいろいろな種類がありますし,民事事件にもいろいろな種類がありますが,刑事事件は刑罰を科するかどうかが問題となる事件,民事事件はそれ以外の事件ということができると思います。
ちなみに,刑事手続においては,当事者は容疑者(一般的には犯罪を犯したと疑われる人のことをこのように呼びますが,法律上は「被疑者」と呼びます。)と検察官(上記の例でいうと,Bさんと検察官となります。)です。
他方,民事手続の当事者は,まさに事件の当事者(上記の例でいうと,AさんとBさんです。)となります。
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