裁判(訴訟)の基本的な仕組みとは?
裁判のうちでも訴訟においては,当事者が一定の請求をした上で,その請求について事実を主張するとともに,その事実を裏付ける証拠を提出して立証し,それらに基づいて裁判所が判決という終局的判断をすることになります。
ここでは,裁判(訴訟)の基本的な仕組みについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明していきます。
(著者:弁護士 志賀 貴 )
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裁判・訴訟の仕組み
裁判にもいろいろな種類があります。また,「裁判」という言葉自体,裁判全体の手続を指す場合と判決や決定など一定の判断それ自体を指す場合とがあるなど多義的なものです。
ここでは,その多義的な裁判のうちで,最も一般的な裁判のイメージと思われる「訴訟」手続を前提としてお話します。
この訴訟にも,民事訴訟と刑事訴訟とがあります。具体的にみていけば,それぞれ大分違うところがあるのですが,本質的なところは同じです。
すなわち,当事者が事実を主張してその事実を裏付ける証拠を提出し,裁判所が,その主張された事実を提出された証拠によって認定して,当事者が申し立てた請求について判決(または決定など)という判断をくだすのが訴訟という手続です。
>> 刑事手続と民事手続の違い
法的な「請求」
基本的に裁判所という機関は,受動的な機関であるといわれています。
つまり,裁判所は自発的に自分から紛争に介入していって,その紛争を解決する,というようなことはしない(というよりも,してはならない)のです。
したがって,紛争は裁判所の外から,つまりは当事者の方から持ち込まれるということになります。
民事でいえば原告,刑事でいえば検察官が,ある一定の紛争についてこういう判断をして欲しい,というように「請求」するのです。
わかりやすい言葉でいえば,「訴える」というこです。現に法律上も,裁判所に請求をすることを「訴え」と呼んでいます。
そして,裁判所はその訴え・請求が認められるか認められないのかだけを判断することになっています。
なお,この請求はどのような内容の請求でもできるというわけではありません。法律で定められている内容の請求しかできません。
事実の「主張」
当事者から紛争が持ち込まれ訴訟が始まったとしても,当然裁判所は何が起こっているのか知りませんから,当事者の方で,裁判所に対して「事実」を主張しなければなりません。
といっても,裁判所がするのは当事者によって持ち込まれた請求についての法律的な判断ですから,主張すべき事実は,その判断につながる事実ということになります。
民事手続でいえば要件事実であり,刑事手続であれば犯罪の構成要件に該当する事実です。
もちろん,これら以外の事実も主張しなければならない場合がありますが,それはあくまで上記の要件事実や構成要件該当事実の存否を判断するのに助けとなるような事実である必要があります。
証拠による「立証」
事実を主張したとしても,その事実が存在するのかしないのかは分かりません。そこで,事実の存否を確かめる必要が出てきます。
訴訟においては,この事実の存否を確かめるために,「証拠」を用います。証拠を調べることによって,事実があるかないかを判断していきます。この証拠も当事者が集めて裁判所に提出することになります。
自分の主張した事実を証拠によって認めてもらうことを「立証」といいます。
裁判所の「判決」
さて,証拠によって要件事実や構成要件該当事実の存否が立証され,あるいは,立証されないことがすべて明らかになった時点で,裁判所は請求について判断をすることになります。
請求を認めるのに必要なすべての事実が立証されている場合には(被告・被告人から,別の,請求を覆すことができる事実を立証していない限り),裁判所は請求を認める,つまり,民事であれば請求認容,刑事であれば有罪の判決をすることになります。
他方,請求を認めるのに必要な事実のうち1つでも存在が認められない(これは認められないというだけで足り「無い」ということまでは必要とされません。)場合には,裁判所は,請求を認めない(これも認めないだけで,「無い」と判断するわけではありません。),つまり,民事であれば請求棄却,刑事であれば無罪の判決をすることになります。
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