法律上の「人」とは?
遺産相続など法的な行為をするのも,されるのも,法律上の「人」です。ここでは,この法律上の「人」とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
法律上の「人」とは?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
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法律上の「人」とは?
一般に「人」というと,人間を思い浮かべると思います。間違いというわけではないのですが,法律上「人」という場合には,人間だけでなく,会社などの法人も含まれています。
法律上は,人間のことを「自然人」といい,法人と区別しています。いずれの「人」も,法的な権利義務の主体となります。
もっとも,遺産相続などの場面で問題となる「人」は,自然人です。法人は含まれていません。また,「人」でない,ペットなどの動物も,遺産相続などでは当事者となり得ません。
自然人たる「人」の始期
法律上,人間が,自然人たる「人」として扱われるのはいつからかというと,出生の時です。
したがって,母親の胎内にいる胎児は,いまだ出生していないので,法律上の「人」ではありません。出生して初めて法律上の「人」になるということです。
では,どの段階で出生したといえるのか,いいかえれば,「人」の始期,胎児と「人」との区別をする時点はいつなのかという点が問題となってきます。
この点については,母体から胎児の身体の一部でも露出すれば足りるとする一部露出説や,母体から胎児の身体の全部が露出しなければ出生とはいえないとする全部露出説があります。
刑法上は一部露出説が通説ですが,民法上では全部露出説が通説です。したがって,民法上は,母体から胎児の身体が全部出てきた時に,法律上の「人」となるということになります。
ただし,相続との関係では,胎児は「人」となる前であっても相続人になることができるという特別の規定があります。
ちなみに,胎児は,相続以外にも,不法行為に基づく損害賠償請求と遺贈の場合も「人」と同様に扱われるという特別の規定があります。
自然人たる「人」の終期
自然人たる「人」の終期は,死亡の時です。
死亡は,基本的に,心臓停止・呼吸停止・瞳孔拡大の3徴候によって判断されると解されていますが,脳死の場合には別の判断が必要となってくるでしょう。
「臓器の移植に関する法律」によれば,「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたもの」を脳死としています。
相続の開始においても,このように判定された人について臓器摘出がなされた場合には,脳死時点で死亡したものと扱われると解されています。
遺産相続との関係でいえば,ある人について,その終期が到来した時,すなわち死亡した時に,相続が開始されることになります。
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