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労働者の労働問題の基礎知識

賃金・割増賃金に関するよくあるご質問・Q&A

労働者の労働に対し,使用者は賃金を支払わなければなりません。また,労働者が時間外労働・休日労働・深夜労働をした場合であれば,基礎賃金を一定割合で割増した割増賃金を支払う必要があります。

この労働者の賃金・割増賃金の支払いは,労働基準法において明確に定められています。また,賃金は労働者の生活の基盤となるものであることから,非常に厳格な支払いの原則も設けられています。

このページの以下では,この法律上定められている賃金・割増賃金に関するよくあるご質問について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所が,Q&A形式で詳しくお答えします。

賃金・割増賃金に関するよくあるご質問

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賃金

Q. 賃金とは何ですか?
A. 賃金とは,使用者が労働者に対し,労働の対象(対価)として支払うすべてのものをいいます。通常は,給料などのように金銭で支払われることになります。
Q. 労働の対償とは何ですか?
A. 賃金は労働の対償として支払われます。労働の対償とは,労働者が使用者のために働いたことの対価という意味です。より具体的にいえば,雇用契約(労働契約)に基づいて労務を提供したことに対する対価ということになります。
Q. 使用者が支払うすべてのものとは何ですか?
A. 賃金は労働の対償として使用者が支払うすべてのものです。「支払う」という文言はありますが,金銭以外の給付も含まれます。ただし,賃金は通貨払いが原則とされているので,実際には通貨で支払われます。
Q. 契約が雇用契約(労働契約)でない場合には,労働の対償とはいえないということですか?
A. はい,原則としていえば,労働契約でない場合に支払われる給付は労働の対償とはいえないでしょう。もっとも,形式上・名目上は雇用契約・労働契約ではなく,たとえば,請負契約・委任契約・業務委託契約などであったとしても(いわゆる,偽装請負や偽装委任の場合),実質的にみれば雇用・労働契約であるという場合には,その報酬が労働の対価として認められる場合はあります。
Q. 賃金については,法律上どのような保障がされているのでしょうか?
A. 賃金は,全額を,通貨で,毎月一定の時期に,労働者に対して直接支払わなければならないという原則があります。また,賃金を支払わなかった場合,使用者は行政処分や罰則などを受ける場合があります。
Q. 社会保険料の使用者負担分は賃金ですか?
A. 社会保険料の使用者負担分を支払うことは使用者の義務です。したがって,賃金には該当しません。ただし,労働契約や就業規則で労働者の負担部分を使用者が支払う旨の定めがある場合,その労働者部分の支払いをしてもらうことは賃金に含まれる場合があります。
Q. 福利厚生費は賃金ですか?
A. 福利厚生費の支払いは,原則として賃金には当たりません。もっとも,労働契約や就業規則で支払額や支払いの条件等が明確に定められている場合には,賃金に該当する場合があります。
Q. 業務関連費は賃金ですか?
A. 実費などの立替払いの返金は,原則として賃金には当たりません。しかし,労働契約や就業規則で従業員に一律に支払われる交通費などは,賃金に該当する場合があります。
Q. 慶弔禍福費は賃金ですか?
A. 慶弔禍福費は,原則として賃金には当たりません。しかし,労働契約や就業規則で支払額や支払いの条件などが明確に定められている場合には,賃金に該当する場合があります。
Q. 家族手当や配偶者手当は賃金ですか?
A. 家族手当や配偶者手当は原則として賃金には当たりません。しかし,労働契約や就業規則で支払額や支払いの条件などが明確に定められている場合には,賃金に該当する場合があります。
Q. 賞与やボーナスは賃金となりますか?
A. 賞与やボーナスも,労働契約や就業規則で支払額や支払いの条件などが明確に定められている場合には,賃金に該当する場合があります。
Q. 退職金や退職手当は賃金となりますか?
A. 退職金・退職手当は,労働契約や就業規則で支払額や支払いの条件などが明確に定められている場合には,賃金に該当する場合があります。

割増賃金

Q. 割増賃金とは?
A. 労働者に時間外労働・深夜労働・法定休日労働をさせた場合,使用者は基礎賃金に一定割合以上で割増した賃金を支払わなければならないとされています。この割増された賃金のことを割増賃金といいます。一般的にいう,残業代(時間外手当・残業手当),深夜手当,休日手当と呼ばれるものです。
Q. 残業代の割増率はどれくらいですか?
A. 時間外労働に対する割増賃金(残業代)の割増率は,基礎賃金の1.25倍以上です。ただし,時間外労働が1か月60時間を超える場合,その60時間を超える部分の残業代の割増率は,基礎賃金の1.5倍以上となります(なお,この1.5倍以上の割増率は中小企業に対しては適用されません。)。
Q. 深夜手当の割増率はどれくらいですか?
A. 深夜労働に対する割増賃金(深夜手当)の割増率は,基礎賃金の1.25倍以上です。
Q. 休日手当の割増率はどれくらいですか?
A. 休日労働に対する割増賃金(休日手当)の割増率は,基礎賃金の1.35倍以上です。
Q. 割増賃金はどうやって計算するのですか?
A. 割増賃金は,1時間当たりの基礎賃金に割増賃金の割増率を乗じて計算します。
Q. 基礎賃金とは何ですか?
A. (算定)基礎賃金とは,割増賃金計算の基礎となる賃金のことをいいます。所定賃金から除外賃金を差し引いたものが基礎賃金となります。
Q. 所定賃金とは何ですか?
A. 所定賃金とは,労働契約において定められた賃金のことを言います。
Q. 除外賃金にはどのようなものがあるのですか?
A. 割増賃金算定において基礎賃金から除外される除外賃金は,家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金です。
Q. 所定労働時間はどのように算定するのですか?
A. 月給制の場合には,毎月の所定労働日数が一律に定められていれば,その所定労働日数に所定労働時間を乗じて1か月の所定労働時間を算定します。一律で無い場合には,1年間の所定労働日数を12で割って1月の平均所定労働時間を算定し,これに所定労働時間を乗じて1か月の所定労働時間を算定します。日給制の場合には,1日の所定労働時間が一律に定められていれば,それをもとにします。一律で無い場合には,1週間の所定労働時間を算出し,それを7で割って1日当たりの平均所定労働時間を算定します。
Q. 1時間当たりの基礎賃金はどのように算定するのですか?
A. 月給制の場合,1か月当たりの所定賃金を1か月当たりの平均所定労働時間を割って1時間当たりの基礎賃金を算定します。日給制の場合,時給額を1時間当たりの基礎賃金とするか,時給額が決められていない場合には,1日の所定賃金を1日当たりの所定労働時間で割って1時間当たりの基礎賃金を算定します。

賃金支払いの5原則

Q. 賃金支払いの5原則とは何ですか?
A. 賃金の支払いには厳格な原則が定められています。この賃金支払いの原則には,全額払い,通貨払い,直接払い,一定期払い,毎月払いの5つがあります。
Q. 通貨払いの原則とは何ですか?
A. 通貨払いの原則とは,賃金は通貨によって支払わなければならないとする原則です。したがって,現物支給などは,例外的に認められるにすぎません。ただし,銀行振込によって支払うことは許されています。
Q. 直接払いの原則とは何ですか?
A. 直接払いの原則とは,賃金は労働者に直接支払わなければならないとする原則です。したがって,労働者の代行者や代理人・家族などに支払うことは原則として禁止されます。
Q. 全額払いの原則とは何ですか?
A. 全額払いの原則とは,賃金は全額を支払わなければならないとする原則です。したがって,一部だけ支払うということは原則として許されません。
Q. 毎月払いの原則とは何ですか?
A. 毎月払いの原則とは,賃金は毎月支払わなければならないとする原則です。年棒制の場合であっても,やはり年棒を12で分割して毎月支払う必要があります。
Q. 一定期払いの原則とは何ですか
A. 一定期払いの原則とは,賃金は一定の期間に定期的に支払わなければならないとする原則です。毎月払いの原則と相まって,通常は1月に1回支払う必要があることになります。

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