家族手当は除外賃金に該当するのか?
残業代などの割増賃金の計算における基礎賃金から除外される除外賃金の1つとして「家族手当」が挙げられています。ここでは,家族手当は除外賃金となるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
家族手当は除外賃金に該当するのか?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
なお,労働事件・雇用問題に関するご相談は,弁護士による労働事件・雇用問題の法律相談をご覧ください。
賃金となる家族手当・配偶者手当等
給料が支払われる場合に,会社・使用者から「家族手当」や「配偶者手当」といった名目で金銭が給付されることがあります。
この家族手当は,労働基準法37条5項において,残業代などの割増賃金の計算における基礎となる賃金(基礎賃金)から除外されると規定されています。
つまり,割増賃金を計算する際に,家族手当の金額を基礎賃金に含めてはいけないということです。
もちろん,名目が「家族手当」であれば何でも除外賃金となるというわけではありません。
もっとも,どのような家族手当が除外賃金となるのかということを考える前に,そもそも家族手当が賃金に当たるのかということを考えておく必要があるでしょう。
そもそも賃金でないのであれば,当然,基礎賃金に含めることができないので,除外賃金かどうかなど考える必要が無いからです。
この点については,家族手当や配偶者手当・子ども手当のような手当であっても,就業規則や労働契約などで支払額や支払基準が明確に定められている場合には,労働の対価として使用者に支払い義務のある金銭ということになり,したがって,賃金に当たると考えられています。
他方,そのような明確な定めもなく,単に恩給として支払われているような場合には,賃金には当たらないということになります。
除外賃金となる家族手当・配偶者手当等
前記のとおり,家族手当等であっても,就業規則等で支払額や支払基準が明確に定められている場合であれば,賃金に該当します。
したがって,その場合には,次に,その賃金に当たる家族手当等が除外賃金となるのかということが問題となってきます。
先ほども言いましたが,「家族手当」という名目で支払われているものであれば,何でも除外賃金となってしまうわけではありません。
除外賃金となる家族手当とは,「扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当」をいうとされています。
つまり,扶養している家族の人数に応じて支払われる手当でなければ,除外賃金とはならないのです。
したがって,たとえば,扶養家族が2人いるAさんには2万円,扶養家族が1人のBさんには1万円,扶養家族がいないCさんには支給しない,というように扶養家族数に応じて労働者ごとに異なる金額が支払われる家族手当は除外賃金に当たるということになります。
名目が「配偶者手当」や「子ども手当」のようなものであっても,上記の実質を有しているのであれば,やはり除外賃金となります。
他方,AさんにもBさんにもCさんにも一律に1万円ずつ支給するというように,扶養家族の人数に関係なく,労働者全体に一律に支払われるようなものは,ここでいう除外賃金となる家族手当には含まれないということになります。
>> 除外賃金とは?
家族手当等が基礎賃金から除外される場合(まとめ)
家族手当等が,残業代などの割増賃金計算における基礎賃金から除外される場合をまとめると,以下のとおりとなります。
- 恩給として支払われているにすぎない(賃金に当たらない)場合
- 扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出されている場合
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