割増賃金算定の基礎賃金はどのくらいの期間を単位とするのか?
未払い残業代・残業手当・深夜手当・休日手当などの割増賃金を計算するためには,その前提として,1時間当たりの基礎賃金を算出しておく必要があります。
ここでは割増賃金計算における基礎賃金の期間の単位について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
割増賃金算定の基礎賃金はどのくらいの期間を単位とするのか?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
なお,労働事件・雇用問題に関するご相談は,弁護士による労働事件・雇用問題の法律相談をご覧ください。
割増賃金算定の基礎賃金
労働基準法においては,使用者は,労働者に法定時間外労働をさせた場合,深夜労働をさせた場合,法定休日労働をさせた場合には,残業代・深夜手当・休日手当といった割増賃金を支払わなくてはならないことを規定しています。
これら割増賃金が支払われていない場合,労働者は,使用者に対して,その未払いの割増賃金の支払いを求めることができます。
もっとも,漠然と支払いを求めるというわけにはいきません。特に訴訟の場合などには,あらかじめ請求する割増賃金の金額を計算しておく必要があります。
この残業代など割増賃金を算定するには,その基礎となる賃金(基礎賃金)を算出する必要があります。割増賃金算定の基礎賃金は,所定賃金から法定の除外賃金を控除することによって算出します。
1時間当たりの基礎賃金
前記のとおり,残業代などの割増賃金を算定するためには,その基礎となる賃金(基礎賃金)を算出しておく必要があります。
この基礎賃金は,1年当たりまたは1か月当たりといった時間単位ではなく,1時間当たりの金額を算出しておく必要があります。この1時間当たりの基礎賃金額を基準として,割増賃金を計算することになります。
例えば,1時間当たりの基礎賃金が1000円であった場合,時間外労働時間が3時間であれば,【 1000円 × 1.25 × 3 = 3750円 】が割増賃金額となります。
1時間当たりの基礎賃金は,労働契約や就業規則等できっちりと1時間当たり●●円というように定まっていれば,その金額となりますが,実際には,そのようにきっちりと定められているという場合は少ないと思います。
その場合には,月給制であれば【 1月当たりの基礎賃金 ÷ 1か月当たりの平均所定労働時間数 】によって,日給制であれば【 1日当たりの基礎賃金 ÷ 1日の所定労働時間(または1日当たりの平均所定労働時間)】によって算出することになります。
なお,上記計算式で計算すると割り切れないという場合があります。
その場合には,1か月当たりの平均所定労働時間数や1日当たりの平均所定労働時間数を60倍することによって1分当たりの所定労働時間数に変更した上で,1分当たりの基礎賃金を算出し,それに基づいて割増賃金を計算すればよいだけです。
実際の割増賃金金額の算定
前記のとおり,割増賃金算定の基礎賃金は,基本的には「1時間当たり」で算出することになります。
もっとも,これはあくまで基礎賃金をいかに算出するのかということです。その算出された基礎賃金をもとにして,実際の残業代など割増賃金の金額を計算する場合のことではありません。
実際の残業代など割増賃金の金額を計算する場合には,1時間ごとに計算するのではなく,1分単位で計算するのが通常です。
したがって,基礎賃金を1時間当たりで算出するからといって,実際の割増賃金金額算定の場合も1時間ごとに計算しないように注意する必要があります。
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