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労働者の労働問題の基礎知識

深夜・休日における残業の割増賃金の割増率はどのくらいか?

深夜や休日に労働をした場合に,その労働が時間外労働に当たるという場合もあるでしょう。その場合にどのように割増賃金を計算するのかということが問題となってきます。

ここでは,深夜・休日に残業した場合の割増賃金の割増率について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

なお,労働事件・雇用問題に関するご相談は,弁護士による労働事件・雇用問題の法律相談をご覧ください。

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深夜・休日・時間外労働が重なる場合の原則

労働基準法では,使用者は,労働者が(法定外)時間外労働をした場合には基礎賃金の1.25倍以上の割増賃金(残業代)を,深夜労働をした場合には基礎賃金の1.25倍以上の割増賃金(深夜手当)を,(法定)休日労働をした場合には基礎賃金の1.35倍以上の割増賃金(休日手当)を,それぞれ支払わなければならないとされています。

また,使用者が一定の大企業で,かつ,労働者の時間外労働が月に60時間を超える場合には,その60時間超過部分については,基礎賃金の1.5倍以上の残業代を支払わなければならないとされています。

※なお,2023年4月1日から,中小企業においても,月60時間を超える時間外労働については,基礎賃金の1.5倍以上の残業代を支払わなければならないことになります。

もっとも,場合によっては,午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働をした場合,それが深夜労働というだけでなく時間外労働でもあるというようなことや,法定休日に8時間を超えて労働をしたため,休日労働というだけでなく時間外労働も行っているということもあるでしょう。

このような場合,どのように割増賃金を計算すればよいのかということが問題となります。

原則論から言えば,「足し算」です。つまり,それぞれの割増率を合計したものを割増率として計算をするということになります。ただし,休日労働が含まれる場合は,特殊な取扱いもあります。

>> 割増賃金の計算の手順とは?

深夜時間帯に時間外労働(残業)をした場合の割増賃金

午後10時から翌午前5時までの深夜時間帯に労働した場合,それは深夜労働になり,これに対しては,礎賃金の1.25倍以上の割増賃金(深夜手当)が発生します。

もっとも,深夜労働までにすでに8時間以上働いていたため,その深夜時間帯における労働が,深夜労働であると同時に法定外時間外労働(法外残業)にも当たるということがあり得ます。

この深夜残業の場合の割増賃金の割増率は,深夜労働の割増率に時間外労働の割増率を足した割合になります。つまり,【 25 + 25 = 50 】パーセント増しになるということです。

したがって,深夜労働と時間外労働が重なる部分については,使用者は,基礎賃金の1.50倍以上の割増賃金を支払う必要があるということです。

>> 時間外労働に対する割増賃金(残業代)とは?

休日に時間外労働(残業)をした場合の割増賃金

休日労働といっても,法定休日における休日労働と法定外休日における休日労働がありますので,以下分けてご説明します。

>> 法定休日と法定外休日とは?

法定休日労働と時間外労働

法定休日に労働した場合の法定休日労働に対しては,基礎賃金の1.35倍以上の割増賃金(休日手当)が発生します。

この法定休日労働においても,たとえば,その法定休日に8時間以上労働するなどして,時間外労働をするということがあり得ます。つまり,法定休日労働と時間外労働が重なる部分が出てくるというわけです。

このような法定休日残業の場合,前記の「足し算」の原則から考えると,法定休日に法外残業をしているのですから,休日労働の割増率1.35に時間外労働の割増率1.25を足した,基礎賃金の1.60倍の割増賃金となるようにも思われます。

しかし,労働基準法では,法定休日の法外残業については,時間外労働の割増率は考慮されないこととされています。

つまり,法定休日に法外残業をしたとしても,時間外労働の割増率25パーセント増しは考慮されず,休日労働の割増率35パーセント増しだけで計算するということになります。

たとえば,法定休日に10時間労働した場合には,8時間を超える時間外労働は考慮されないので,単純に,10時間分の割増率1.35倍の休日手当だけが支払われることになります。

>> 法定休日労働に対する割増賃金(休日手当)とは?

法定外休日労働と時間外労働

法定外休日労働に対しては,原則として,割増賃金は発生しません。法定外休日の労働が時間外労働に当たる場合にだけ,時間外労働に対する割増賃金が付けられるだけです。

したがって,通常どおり,法定外休日の労働が,1日8時間または1週40時間を超える時間外労働に当たるのかどうかを計算するだけということになります。

したがって,割増率も,当然,時間外労働の場合の1.25倍以上のみです。

休日の深夜時間帯に時間外労働(残業)をした場合の割増賃金

最後に,法定休日の深夜時間帯に時間外労働法外残業をした場合には,どのように割増賃金を計算すればよいのかについて考えます。

この場合,「足し算」の原則で単純に考えると,休日労働の割増率35パーセント,時間外労働の割増率25パーセント,深夜労働の割増率25パーセントを合算した85パーセント増になるようにも思われます。

しかし,前記のとおり,法定休日に時間外労働をした場合は,時間外労働の割増率は考慮されません。

つまり,法定休日に8時間を超えて労働したとしても,その8時間を超える部分についても35パーセント増の割増しかつかないということです。

もっとも,法定休日であっても,深夜労働の割増率は考慮されます。

したがって,法定休日の深夜残業の場合には, 【 35 + 25 = 60 】パーセント増しの割増賃金が発生するということになるのです。

>> 深夜労働に対する割増賃金(深夜手当)とは?

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