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労働事件・雇用問題(労働者側)

労働裁判に関するよくあるご質問・Q&A

労働問題・労働事件の多くは話し合いによって解決していますが,話し合いがつかない場合には,これを終局的に解決するために,裁判所の手続を利用する必要があります。

ここでは,労働事件を解決するのための労働審判や労働訴訟などの裁判手続のよくあるご質問について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がQ&A形式でお答えいたします。

労働裁判に関するよくあるご質問

なお,労働事件・雇用問題に関するご相談は,弁護士による労働事件・雇用問題の法律相談をご覧ください。

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労働事件に関する裁判手続

Q. 労働事件を解決するための裁判手続にはどのような手続がありますか?
A. 労働事件を解決するための裁判手続としては,裁判所が当事者の主張立証に基づいて終局的判断をくだす労働訴訟,裁判所が間に入って当事者の話し合いを促進しつつも,話がつかない場合には,訴訟同様,当事者の主張立証に基づいて裁判所が判断をくだす労働審判,もっぱら裁判所が間に入って話し合いを促進する労働調停とがあります。その他にも,証拠を事前に確保するための証拠保全手続や将来の強制執行のためにあらかじめ相手方の財産を仮に押えておく民事保全手続なども,労働事件解決のために利用できる裁判手続といえるでしょう。
Q. 裁判外の手続と裁判所を利用する手続とでは,どのような違いがあるのですか?
A. 裁判外の手続は,裁判手続に比べ,費用が廉価または無料で,しかも解決が早いというメリットがあります。しかし,裁判手続のような強制力がないというデメリットもあります。他方,裁判手続には強制力があるため終局的な解決が可能であるというメリットがある反面,費用や時間がかかるというデメリットもあります。

労働調停

Q. 調停とはどのような手続ですか?
A. 調停とは,裁判所または裁判所の選任した調停委員が,当事者の間に入って,話し合いを促進するという手続です。
Q. 労働調停という特別な調停があるのですか?
A. いいえ。労働調停という特別な調停制度があるわけではありません。労働調停という呼称は,一般の民事調停において労働事件を取り扱う場合という意味にすぎません。
Q. 労働調停はどのように進行するのでしょうか?
A. 労働調停は,当事者が裁判所に対して調停の申立てをすることによってはじまります。申立て後は,両当事者が裁判所に召喚され,裁判所または調停委員が間に入って話し合いをしていくことになります。通常は,交互に調停委員に主張や事情を話し,それを調停委員が相手方に伝えるという方式がとられますので,相手方と直接対面して話し合いをするということは少ないと思います。
Q. 調停において話がついた場合はどうなるのでしょうか?
A. 調停において当事者間で話がついた場合,その合意の内容に基づいて,裁判所が調停の調書を作成します。
Q. 調停調書にはどのような効力があるのですか?
A. 裁判所による調停調書には,確定判決と同様の効力があります。つまり,その調書があれば,合意内容に応じた強制執行をすることができるようになるということです。
Q. 労働調停はどこに申し立てればよいのでしょうか?
A. 労働調停は,相手方の住所や本店所在地を管轄する裁判所に申立てをします。
Q. 労働調停にはどのようなメリット・デメリットがありますか?
A. 訴訟や審判ほど厳格な主張立証が必要ないというメリットがあります。しかし,あくまで話し合いですから,相手方と話がつかなければ結局審判や訴訟をしなければなりません。現在では,労働審判制度も用意されているので,調停にはあまりメリットがなくなったといってよいでしょう。
Q. 労働調停はどのような場合に利用するのでしょうか?
A. 労働調停を利用する場合としては,例えば,証拠がないため労働審判や訴訟を提起することに困難が予測される場合などに,相手方の出方を探る目的で利用するということがあります。また,すでに大筋で話がついているものの細かな点だけ話がついていないような場合も利用することがあり得るでしょう。

労働審判

Q. 労働審判とはどのような手続ですか?
A. 労働審判は,1人の裁判官(労働審判官)と裁判所外から選ばれた2人の専門家(労働審判委員)から成る労働審判委員会が,労使当事者双方の話し合いをすすめつつ,話がつかなかった場合には労働審判という決定をくだす裁判手続です。
Q. 労働審判ではどのような労働事件が扱われるのでしょうか?
A. 労働審判で扱われる事件は,個別労働関係民事紛争です。例えば,労働者から使用者に対する賃金・残業代などの請求事件や解雇無効請求事件などです。労働組合と使用者との間の集団労働関係民事紛争は含まれません。
Q. 労働審判にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
A. 労働審判は3回の期日で終わらせなければならないとされていますので,解決が早いというメリットがあります。実際には,1回か2回の期日で終了することが多いでしょう。また,話し合いを基調としているので,柔軟な解決が可能となるという点もメリットがあります。
Q. 労働審判にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
A. 労働審判は話し合いを基本としていますから,労使双方に妥協が求められることになります。したがって,ある程度妥協の可能な場合でなければ利用しにくいという面があります。また,訴訟よりも短期間で終了するため,最初の段階でかなりの準備をしておく必要があります。加えて,労働審判には異議を申し出ることができます。異議がされると通常訴訟に移行します。したがって,労働審判を申し立てる方がかえって時間がかかってしまい,はじめから訴訟を提起する方がよいということもあります。
Q. 労働審判はどのように進行するのでしょうか?
A. 労働者が労働審判申立書を提出して労働審判を申し立てると,第1回の期日が指定されます。第1回期日の1週間ほど前までに使用者は反論を答弁書によって提出します。第1回期日では,この申立書と答弁書をもとに話し合いや労働審判員階からの事情の聴取が行われます。その上で,調停の機会が設けられます。ここで話がつけば裁判所が調停の調書を作成し,事件は終結となります。第1回で話がつかなければ,第2回・第3回と期日が行われ,第3回においても話がつかなければ,労働審判委員会によって,労働審判という決定がなされます。
Q. 最終的に結論が出るまで,どのくらいの期間がかかるのですか?
A. 労働審判は,申立てをしてから2か月~4か月ほどで終了するのが通常です。近時は,1回で和解により終了する場合が多いようです。1回で終了した場合には2か月程度で解決に至るということになります。
Q. 話がつかなかった場合にはどうなるのでしょうか?
A. 審判手続内で話がつかなかった場合,労働審判委員会によって,労働審判という決定がなされます。
Q. 最終的に下された労働審判にはどのような効力があるのですか?
A. 労働審判が相手方に到達してから2週間を経過しても異議がなければ,審判が確定します。確定した労働審判は債務名義(強制執行ができるようになる証明)となります。逆に,労働審判に対して異議が出されると,事件は通常の訴訟に移行することになります。
Q. 労働審判に向いていない事件とはどのような事件ですか?
A. 労働審判は3回の期日内での決着が予定されています。そのため,3回の期日で決着が難しいような事件,例えば,労働時間の認定が必要となる残業代等の請求事件,不法行為等の認定が必要となる労災事件など事実認定が複雑となると予想される事件は,労働審判に向いていないといえるでしょう。
Q. 労働審判はどこに申し立てればよいのでしょうか?
A. 労働審判は,使用者側の本店または営業所の所在地を管轄する地方裁判所の本庁(ただし,東京では立川支部,福岡では小倉支部でも労働審判を行っています。)に申立てをすることになります。

労働訴訟

Q. 労働訴訟とはどのような手続ですか?
A. 労働訴訟とは,労働事件を扱う訴訟のことです。もっとも,労働訴訟という特別な訴訟手続があるわけではなく,あくまで通常の訴訟です。したがって,他の事件の訴訟と同様です。訴訟においては,当事者が互いに主張と立証を尽くし,それに基づいて裁判所が判決という法的な判断をくだすことになります。
Q. 労働訴訟と労働審判とはどのように違うのですか?
A. 労働審判は,話し合いによる解決を第一としていますが,労働訴訟は話し合いが第一ではありません(無論,話し合いも行われます。)。また,労働審判では,裁判官でない労働審判委員が判断権者に加わっていますが,訴訟の場合,判断権者はあくまで裁判官(または裁判官によって構成される裁判所)です。加えて,労働審判のような期間制限もありません。
Q. 労働訴訟はどのように進行するのでしょうか?
A. 労働訴訟は,当事者の一方(原告)が訴状を提出して訴えを提起することによって開始されます。訴えが提起されると第1回の口頭弁論期日が指定され,その第1回口頭弁論期日までに相手方(被告)が答弁書を提出して反論します。当事者は相互に主張をし,それを裏付ける証拠を提出して立証をします。当事者双方の主張と立証が尽くされたところで,裁判所が判決をします。
Q. どのような場合に労働訴訟を選択するのですか?
A. 話し合いによって解決する希望があり,また,相手方も話し合いに応じることが期待できるという場合には,労働審判や労働調停を選択することになるでしょう。しかし,そうでない場合には,訴訟を提起することになります。特に,前提となる事実からすでに争いがあるような場合には,やはり訴訟を選択することになると思われます。
Q. 最終的に結論が出るまでそのくらいの時間がかかりますか?
A. 労働事件は時間のかかる事件類型です。訴訟ですと,1年以上かかることは当たり前にあります。現在では民事訴訟の迅速化がすすめられていますが(かつては10年以上かかる事案もあったそうです。),場合によっては,やはり2年以上かかるということもあるでしょう。
Q. 判決にはどのような効力があるのですか?
A. 訴訟は三審制がとられています。第一審の判決が被告に送達されてから2週間を経過しても不服申し立てがなかった場合,第二審の判決が被控訴人に送達されてから2週間を経過しても不服申し立てがなかった場合,上告審の判決が言い渡された時には判決が確定します。確定した判決は債務名義(強制執行等をするための証明)となります。
Q. 労働訴訟はどこに申し立てればよいのでしょうか?
A. 労働訴訟は,基本的には,相手方の本店または営業所の所在地を管轄する裁判所です。請求金額が140万円以下の場合には簡易裁判所に,140万円を超える場合には地方裁判所に訴訟を提起することになります。

証拠保全手続

Q. 相手方の手元に証拠となる資料がありますが,相手方が開示してくれません。何か方法はありますか?
A. 訴訟を提起して,その訴訟中において文書提出命令を申し立てるという方法もありますが,訴訟を提起する前の段階であれば,証拠保全手続という裁判手続を利用する方法があります。
Q. 証拠保全とはどのような手続ですか?
A. 証拠保全とは,裁判所を通じて,相手方に証拠の開示を求めるという手続です。訴訟提起前に行うのが通常ですが,訴訟提起後に行うことも可能です。
Q. 証拠保全の手続はどのように進むのですか?
A. 証拠保全の手続においては,文書の提出を求めるという方法もありますが,一般的には,裁判官が相手方の事業所等に赴き,その場で資料の開示等を求めるということになります。
Q. 証拠保全を行えば,必ず証拠を確保できるのでしょうか?
A. いいえ。証拠保全を行っても必ず証拠を確保できるわけではありません。証拠が現地になければ保全できませんし,また,稀にですが,相手方が証拠の開示を拒絶する場合もあります。
Q. 相手方が証拠保全を拒絶した場合,どうなるのでしょうか?
A. 相手方が証拠保全を拒絶した場合,証拠を確保することができません。しかし,証拠保全において裁判官が証拠の提示を命令したにもかかわらず証拠開示を拒絶した場合には,その後の訴訟において,証拠保全を求めた側の主張を真実と認めるという不利益を課すことができます。

民事保全手続

Q. 勝訴しても,訴訟中に相手方が財産を隠してしまうのではないかと不安です。何か方法はありませんか?
A. 訴訟をする前に,勝訴判決後に強制執行をするための相手方の財産をあらかじめ確保していくための裁判手続として,民事保全という手続があります。
Q. 民事保全とはどのような手続ですか?
A. 民事保全とは,訴訟提起前に相手方の財産等を動かせないようにとどめておくための手続です。この民事保全には,あらかじめ相手方の財産を処分できないようにしておく仮差押えや,あらかじめ一定の行為ができないようにしたり,一定の行為を継続するようにしておくという仮処分の手続があります。
Q. 民事保全は,労働事件の場合どのように用いられるのでしょうか?
A. 通常の事件と同様,仮差押えによって相手方の財産を押さえておくという方法で用いられます。加えて,不当解雇の場合には,判決が確定するまで,解雇が無効であったことを前提として,給料等の賃金を支払い続けるように命ずるという賃金仮払いの仮処分(従業員たる地位保全の仮処分と同時になされる場合もあります。)が用いられることもあります。

民事執行手続

Q. 金銭の支払いを命じる債務名義を取得しましたが相手方が任意に支払ってくれません。どうしたらよいでしょうか?
A. 債務名義を取得したにもかかわらず被告が任意に支払いをしてくれない場合には,民事執行という裁判手続をとる必要があります。
Q. 民事執行とはどのような手続ですか?
A. 民事執行にはさまざまな手続がありますが,代表的なものは強制執行でしょう。すなわち,相手方の財産を強制的に回収したり,あるいは強制的に売却してその代金を回収したりするという手続です。

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