労働訴訟の手続はどのような流れで進むのか?
労働問題を解決するための裁判手続の1つとして労働訴訟を利用する方法があります。ここでは,この労働訴訟の手続の流れついて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
労働訴訟の手続はどのような流れで進むのか?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
なお,労働事件・雇用問題に関するご相談は,弁護士による労働事件・雇用問題の法律相談をご覧ください。
労働訴訟の訴状の作成
労働訴訟の手続は,まず訴えを提起をすることによって始まります。訴えの提起は,「訴状」という書面を提出する方法によって行います。したがって,労働訴訟手続の第一歩は,この訴状の作成ということになります。
訴状は,裁判所の分1通(正本),相手方1人につき1通を作成する必要があります。証拠は,裁判所に正本1通,相手方1人につき写しを1通用意します。

訴えの提起
訴状が完成したら,これを裁判所に提出することによって訴えを提起します。訴状には,証拠も一緒に添付します。
また,収入印紙や郵券も必要となります。収入印紙は請求金額によって,郵券は申立てをする裁判所によって金額が異なります。
訴えの提起をする裁判所は,請求金額(利息や遅延損害金・付加金は除きます。)が140万を超える場合には地方裁判所に,140万円以下の場合は簡易裁判所に提起することになります。
場所は,原則として,使用者側の所在地を管轄する裁判所になります。

第1回期日の指定・呼出し
訴状が受理されると,第1回の期日が指定されます。相手方に対しては,裁判所から通知がなされ,第1回期日へ出頭するように呼出しがなされます。
第1回期日は,だいたい訴えの提起から1月後程度に指定されるのが通常です。

答弁書の提出
第1回期日までに相手方は申立書に対する認否や反論を記載した「答弁書」を提出します。第1回期日の1週間前までに提出するのが通常です。

第1回口頭弁論期日
指定された期日に,裁判所において第1回口頭弁論期日が行われます。原告から提出された訴状と被告から提出された答弁書が陳述されます。
第1回に限り,被告は出頭せずに,答弁書を提出することによって出席扱いとする擬制陳述という方法をとることができます。

第2回以降
第2回以降は,相互に主張と証拠による立証をしていくことになります。主張は,「準備書面」という書面を提出して行います。
争点が複雑な場合には,法廷で行う口頭弁論期日だけでなく,別室で話し合いを行いながら争点を整理していく弁論準備期日が行われることもあります。
和解のめどがあれば,その都度,和解の試みがなされることもあります。

当事者・証人の尋問
主張や書証(書面の証拠)による立証が尽くされ,なお争点の立証が尽くし切れていない場合には,原告被告ら当事者や証人の「尋問」が行われます。
尋問は,当事者が相互に質問をする方法で行われます。裁判官から質問がなされる場合もあります。

弁論の終結
証人尋問まで行われ,和解の見込みがない場合には,弁論は終結します。最後に,当事者から,それまでの主張や証人尋問の結果も含めた立証をまとめた「最終準備書面」を提出する場合もあります。

判決(第一審)
弁論の終結後,裁判所は,当事者の主張・立証に基づいて,「判決」という終局的な判断をくだします。

不服申立て
第一審の判決に不服がある場合,不服のある当事者は不服申立てをすることができます。第一審の判決に対する不服申立てを控訴といいます。
控訴されると,第一審が簡易裁判所の場合には地方裁判所が控訴裁判所(第二審)となり,第一審が地方裁判所の場合には高等裁判所が控訴裁判所となります。
また,控訴審の判決に不服がある場合にも,上告という不服申立てをすることができます。控訴審が高等裁判所の場合には,上告審は最高裁判所において行われます。
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