未払い休日割増賃金請求に必要となる証拠とは?
休日労働に対する割増賃金(休日手当)が支払われなかった場合,後々の請求に備えてどのような証拠を用意しておけばよいのでしょうか?
ここでは,未払い休日手当請求のための証拠について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
未払い休日割増賃金請求に必要となる証拠とは?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
※東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所における未払い残業代等請求のお取り扱いについては,未払い残業代等請求の経験豊富な弁護士をお探しの方へをご覧ください。
未払い休日手当請求のための立証
労働基準法では,週に1回(例外的に4週間に4回)以上の休日を与えなければならないと決まっています。この労働基準法で定められた最低限付与しなければならない休日を法定休日といいます。
この法定休日に労働者を労働させた場合,使用者は基礎賃金の35パーセント増以上の割増賃金,いわゆる休日割増賃金(休日手当)を支払わなければならないとされています。
未払い休日手当の支払いを請求する方法としては交渉などによる方法もありますが,話し合いがつかなければ,最終的には訴訟によって請求する必要があります。
そのため,あらかじめ訴訟になることも見越しておく必要があります。
それでは,未払い休日手当の支払いを請求するためには,どのような証拠を用意しておく必要があるのでしょうか?
未払い休日手当を請求するためには,使用者との間で労働契約が締結されていたこと,その労働契約における労働条件(所定賃金・所定労働時間・所定休日等),休日労働をしたことを主張し,それを証拠によって立証する必要があります。
使用者との間で,休日労働に対して労働基準法所定の1.35倍以上の割増賃金を支払うという合意がなされている場合には,そのことも立証することになります。
労働条件・賃金の金額に関する証拠
前記のとおり,未払い休日手当を請求するためには,所定賃金額等の労働条件の内容を立証する必要がありますが,その前提として,そもそも使用者との間で労働契約・雇用契約を締結していたことの立証が必要です。
労働契約・雇用契約を締結したことの立証については,労働契約書・雇用契約書があれば確実です。
ただし,実際に従業員として勤務していたのであれば,使用者が労働契約・雇用契約は締結していない(従業員ではない)と主張して,労働契約の成立まで争ってくることは稀でしょう。
>> 労働契約とは?
賃金の金額
所定賃金の金額については,労働契約書・雇用契約書に詳細が定められていればそれで足りますが,そうでない場合には,就業規則・賃金規程なども証拠として用意しておく必要があります。
所定賃金の金額や手当の内訳などだけであれば,給与明細だけで立証することが可能な場合もあります。
労働契約書・就業規則・給与明細のいずれも発行されていない又は開示されないという場合もあります。
その場合には,銀行振込の記録(通帳の写し)や領収書などによって,支給されている賃金の金額を証明することが可能です。
所定休日等の労働条件
休日労働をしたことを立証するためには,まず前提としてどの日が休日として決められていたのかを立証しておかなければなりません。これについては,休日を定める就業規則等を用意しておくことになります。
タイムカードの記載から,いつが休日であったのかが明らかになるという場合もあります。
休日に関しては,どの日が法定休日で,どの日が法定外休日なのかということまで定められているのであれば,それを定める労働契約書や就業規則を証拠として用意しておく必要があります。
また,休日割増賃金を計算するためには,上記所定休日のほか,所定労働時間等も立証する必要があります。これらについても,それら労働条件を定める契約書や就業規則が必要となってくるでしょう。
>> 休日労働とは?
労働基準法所定の割増率と異なる割増率の立証
使用者との間で,休日労働に対しては労働基準法所定の1.35倍以上の休日割増賃金を支払う旨の合意があった場合には,そのことを定める労働契約書や就業規則などを証拠とすることになります。
>> 割増賃金の割増率とは?
労働時間に関する証拠
実際に休日労働をしたことについては,基本的には,タイムカードによって立証します。タイムカードが無い場合には,労働時間を記録した証拠を探すことになります。
タイムカードが無い場合の労働時間の立証はなかなか難しいものがあります。タイムカード以外に労働時間を示すような勤務報告書のようなものがあればそれを使います。
場合によっては,会社内にあるパソコンの起動時間・終了時間のデータを取り出して証拠化したり,会社の建物の管理人などがいれば,建物に入った時間と出た時間の記録などを証拠とする場合もあるでしょう。
防犯カメラや警備会社の警備記録があれば,その映像や記録を取得することも考えられます。
それら客観的な証拠が無い場合には,自分でつけていた日記などの記録を証拠としていく場合もあり得ます。ただし,日記等は証拠として信用性が低いので,その日記の内容を補強するような証拠が必要となるでしょう。
使用者側が,休日労働をしたことについて争うような場合でタイムカードや労働時間を記録した書面などが無い場合には,同僚の証言やご本人の陳述が必要となる場合もあります。
休日手当が支払われていないことの立証は不要
なお,休日手当が支払われていないことは,労働者の側で立証する必要はありません。なぜなら,むしろ,休日手当を支払ったことを使用者側で主張・立証しなければならないからです。
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