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未払い残業代請求

定額手当の支給による固定残業代制度は有効なのか?

固定残業代(定額残業代・みなし残業代)制度という場合,基本給に残業代が含まれているというタイプだけでなく,別途支給される手当に残業代が含まれているというタイプもあります。

ここでは,この残業代に代わる定額手当を支払うというタイプの固定残業代制度は有効なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。

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固定残業代(定額残業代・みなし残業代)の種類

固定残業代(定額残業代・みなし残業代)とは,あらかじめ一定時間分の残業代を支払っておくという賃金の支払方法のことをいいます。

この固定残業代制度には,基本給に,通常の労働時間の賃金だけでなく一定の時間分の割増賃金も含まれているというタイプと,基本給とは別に支払われている各種の手当に一定時間分の割増賃金が含まれているというタイプなど様々な種類があります。

後者のタイプの例としては,たとえば,基本給の他に,定額残業手当などの名目で賃金が支払われており,それらが固定残業代に当たるというような場合です。

>> 固定残業代(定額残業代・みなし残業代)とは?

定額手当の支給による固定残業代制度の有効性

定額手当の支給による固定残業代制度も,基本給に残業代が含まれているという固定残業代の場合と,考え方としては異なりません。

つまり,定額手当の支給による固定残業代も,必ずしも労働者にとって不利益になるというばかりではないですから,固定残業代制度それ自体が労働基準法に違反して無効となるというものではありません。

もっとも,定額手当の支給による固定残業代制度の場合でも,予定されている残業時間を超える残業をした場合には,その超過部分の残業代は,別途,支払う必要があります。

たとえば,基本給のほかに,10時間分の残業代として5万円の定額残業手当が支給されていたとします。

この場合に,労働者が15時間残業をしたというときには,その労働者は,定額残業手当として支給されている分とは別に,それにおいて予定されていた10時間を超える5時間分の残業代を支払うように請求することができるということです。

>> 固定残業時間を超過して残業等をした場合

定額手当の支給による固定残業代が争われる場合

前記のとおり,定額手当の支給による固定残業代も有効となることはあり,一般的に無効となるというわけではありません。もっとも,それは,固定残業代制度が適切に運用されていた場合の話です。

実際には,この固定残業代制度は,使用者側が残業代を支払わないための口実として用いてくる場合が少なくありません。そのため,未払い残業代等請求の紛争では,その有効性が少なからず争点となってきます。

>> 未払い残業代請求に対する使用者側の反論

通常労働賃金部分と固定残業部分の区別

定額手当の支給による固定残業代制度の場合も,基本給に含まれているという固定残業代制度の場合と同様,固定残業代制度として有効となるためには,以下の要件が必要となってきます。

  • 固定残業代制度を採用することが労働契約の内容となっていること
  • 通常の労働時間に対する賃金部分と固定残業部分が明確に区別されていること
  • 労働基準法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払うことが合意されていること(これを要件とするかについては争いがあります。)

そもそも労働契約・個別の合意または周知されている就業規則・賃金規程等にある特定の手当が固定残業代であるとの規定がなければ,労働条件とはなりませんから,それらに規定がなければ,固定残業代が有効となることはありません。

また,通常の労働の賃金部分と固定残業部分とが明確に分かれていなければ,割増賃金を労働者において計算することができませんから,通常の労働の賃金の部分と,固定割増賃金とされている手当とが明確に区分されている必要があるでしょう。

さらに,前記のとおり,労働基準法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払わなければなりませんから,そのことについても労働契約等で定められていることも求められてきます(この要件まで必要かどうかについては争いがあります。)。

>> 固定残業代制度が有効となる要件とは?

残業代等としての実質を備えていること

定額手当の支給による固定残業代の場合には,通常の労働に対する賃金の部分と固定残業部分が区分されているというだけではなく,さらに,その支給されている手当が,残業代等の実質を備えたものであることが必要となってきます。

手当の名目がはじめから固定残業手当とか定額時間外手当とかの名目であれば,まだそれが残業手当として支払われていたものであるかどうかが分かりやすいですが,営業手当や店長手当などの名目ですと,それがはたして本当に残業手当として支給されていたものなのかが分からないという場合もあります。

そのため,定額残業手当であったと使用者側が主張する各種の手当が,本当に,定額残業手当として支払われていたものなのかどうかが問題となってくるのです。

たとえば,基本給の他に,営業手当の名目で手当が支払われている場合に,この営業手当が,はたして本当に定額残業代として支払われていたものなのかどうかを判断する必要があるます。

仮に,その営業手当が定額残業手当として支払われていたものだと認められれば,その営業手当は残業代計算の基礎賃金に含まれなくなり,また,その支給によって予定していた残業時間を超える部分についてだけしか残業代を請求できないということになります。

他方,その営業手当が定額残業手当として支払われていたものとはいえないということになれば,その営業手当は(除外賃金に当たらない限り)残業代計算の基礎賃金に含まれることになり,それをもとに計算した残業代をすべて請求することができるということになります。

当該手当が固定残業代としての実質を備えているのかどうかは,実際にその手当の金額がどのように決められたものであるのか,固定残業時間分の割増賃金としてその金額が計算上あっているのかなどから判断することになるでしょう。

>> 固定残業代としての実質を備えているかどうかの判断

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