ファイル共有ソフトによる著作権侵害の法的責任とは?
BitTorrent(ビットトレント)等のファイル共有ソフトを利用して著作権を侵害した場合,ソフトの利用者は,民事または刑事において,法的な責任を負うことになります。
このページの以下では,ファイル共有ソフトによる著作権侵害の法的責任についてご説明いたします。
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ファイル共有ソフトによる著作権侵害の法的責任とは?
ファイル共有ソフトによる著作権の侵害
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を「著作物」といい(著作権法2条1項1号),この「著作物を創作する者」のことを「著作者」といいます(同項2号)。
例えば,音楽,美術,映画などは著作物に当たります。マンガ,アニメ,アダルト動画などもこれらの著作物に含まれます。
著作者は,これら著作物について「著作権」という排他的な権利を有しています。
この著作権には各種の支分権があります。例えば,著作物を複製する権利(複製権),公衆送信する権利(公衆送信権),自動公衆送信を可能化する権利(送信可能化権)などがあります。
そのため,著作者の許諾なしに著作物を複製したり公衆送信したりする行為は,著作権を侵害するものとして違法な行為となります。
BitTorrent(ビットトレント)などファイル共有ソフトを利用してマンガ,アニメ,アダルト動画などをインターネット上にアップロードする行為も,著作者の公衆送信権(または送信可能化権)を侵害する行為であり,違法行為となります。
そのため,著作者は,その著作権を侵害したファイル共有ソフトの利用者等に対し,法的責任を追求することになります。
ファイル共有ソフトによる著作権侵害があった場合に利用者等が負う法的責任には,刑事責任と民事責任があります。
>> ファイル共有ソフトによる著作権侵害の法的責任追求の流れ
刑事責任
前記のとおり,著作者は,その著作物について公衆送信を行う権利(公衆送信権。著作権法23条1項)を有しています。
さらに,著作者は,実際に公衆送信をする権利だけでなく,自動公衆送信の場合には,送信可能化の状態にする権利(送信可能化権。著作権法23条1項)も有するものとされています。
自動公衆送信における送信可能化については,著作権法2条1項9号の4および9号の5において定義されています。代表例は,インターネット上のサーバーに著作物のデジタル情報をアップロードすることが挙げられます。
これら公衆送信権や送信可能化権は,著作権者に排他的に認められる法的権利です。したがって,著作権者の許諾なく,著作物を公衆送信または自動公衆送信可能化とする行為は,著作権侵害となります。
BitTorrent(ビットトレント)などファイル共有ソフトの利用して公衆送信権や送信可能化権を侵害した場合,その侵害者は,刑事責任を負うことがあり得ます。
著作物を著作権者の許諾なしにアップロードして著作権を侵害した場合,著作権法119条1項により,10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金,またはこの両方の刑罰を科される可能性があります。
また,アップロードだけでなく,ダウンロードであっても,有償の著作物の著作権を侵害する自動公衆送信であると知りながらダウンロードしたような場合などには,著作権法119条3項により,2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金,またはこの両方の刑罰を科される可能性があります。
これらの罪は,基本的に親告罪とされています。そのため,著作者による告訴がなければ立件されないのが原則です。
かなり悪質で被害も大きいものでなければ,実際に起訴され刑罰を科されるにまで至るケースは少ないと思われますが,立件されて捜査が行われることはあり得るでしょう。
民事責任
BitTorrent(ビットトレント)などファイル共有ソフトの利用して公衆送信権や送信可能化権を侵害した場合,侵害行為をした者は,刑事責任だけでなく,民事責任を負うこともあります。
具体的に言うと,著作権を侵害した人は,著作者に対して不法行為責任を負い,損害賠償を支払わなければならないことになります(民法709条以下)。
近時利用が増加していると言われるファイル共有ソフトのBitTorrent(ビットトレント)のユーザーに対して,他のユーザーと共同して動画ファイル等をアップロード可能な状態にして著作権者の送信可能化権を侵害したとして,損害賠償責任が生じることを認めた裁判例もあります(東京地判令和3年8月27日,知財高裁令和4年4月20日)。
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