遺産分割に期限や消滅時効はあるのか?
相続人間での遺産争いを解決するための法的手続として「遺産分割」がありますが,この遺産分割をすることについては,特別な期限や消滅時効はありません。
ここでは,遺産分割の期限や消滅時効について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
遺産分割に期限や消滅時効はあるのか?
(著者:弁護士 志賀 貴 )
遺産分割のご相談については,弁護士による遺産分割の法律相談のご案内ページをご覧ください。
遺産分割の期限・消滅時効
遺産分割についてご相談をおうかがいする際に,よくあるご質問として,「遺産分割はいつまでにすればよいのか?」というご質問があります。
結論から言えば,遺産分割はいつまでにしなければならないという期限は設けられていません。また,遺産分割を他の共同相続人等に請求する権利も,消滅時効によって無くなってしまうということもありません。
たとえば,相続放棄や限定承認については相続開始を知った時から3か月という期間(熟慮期間)が設けられていますし,遺留分侵害額請求についても消滅時効や除斥期間が設けられていますが,遺産分割にはそのような期限や時効は設けられていないのです。
したがって,法的にいえば,遺産分割はいつでもできるということになります。
しかし,相続財産(遺産)をいつまでも誰のものか確定させないままでおくと,後に,その財産の処分等が問題となった場合にトラブルを生じることになります。
実際,遺産分割未了財産の処分等のトラブルは少なくありません。
また,後述のとおり,遺産分割すること自体に期限はありませんが,遺産分割をしていようといまいと相続税等の申告期限は決められていますし,個々の相続財産は時効により消滅することもあり得ます。
やはり,相続財産がある場合には,将来生じ得るトラブルを回避するためにも,遺産分割を必ずしておくべきでしょう。
>> 遺産分割とは何か?
相続税等の申告・納付との関係
前記のとおり,遺産分割には期限はありません。しかし,遺産相続において忘れてはいけないことは,税金の問題です。
相続によって財産を取得した場合,相続税の申告・納付しなければなりません。この申告・納付の期限は,相続の開始を知った時から10か月とされています。
この相続税の申告・納付期限内に申告をしないと,加算税を課されることになり,納付をしなければ延滞税を課されることになります。
この申告・納付期限は,遺産分割が完了しているかどうかに関わらないものとされています。
つまり,遺産分割が終わっていなかったとしても,とりあえず法定相続分の限度で申告・納付はしておかなければならないのです。
したがって,遺産分割に期限はないといっても,可能なのであれば,10か月以内に決着をつけておいた方が無難であるということにはなります。
なお,10か月以内に遺産分割が終わらず,法定相続分でとりあえず相続税を納付した場合には,遺産分割の手続内でその支払った相続税について調整することになります。
>> 相続財産が遺産分割されていない場合の申告(国税庁HPから)
個々の相続財産の消滅時効との関係
前記のとおり,遺産分割を請求する権利には消滅時効というものはありません。しかし,個々の相続財産については別です。個々の相続財産については,時効によって消滅することがあり得ます。
たとえば,債権です。相続財産として債権があったという場合,遺産分割をしていようといまいと,時効更新措置をとらない限り,その債権の消滅時効期間は進行していきます。
したがって,どの共同相続人も時効中断措置をとらないままで消滅時効期間が満了してしまった場合,その後に遺産分割によってその債権を取得したとしても,債務者から消滅時効を援用されてしまうと,もはやその債権は消滅し,債権を回収することができなくなるのです。
最も典型的な債権としては,銀行預金払戻債権などがあります。
実務的にはあまりないでしょうが,もし預金債権が時効によって消滅してしまうと,仮に遺産分割で預金をもらえることになったとしても,その預金の払い戻しができなくなってしまうということです。
したがって,遺産分割には期限はないといっても,個々の相続財産それ自体には消滅時効があることもありますので,その点には注意をしておく必要があります。
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