法定相続情報証明制度とは?
法定相続人が,相続に伴う諸手続を行う都度,戸籍書類の束を収集しなければならない手間を省くため「法定相続情報証明制度」が設けられています。法定相続情報証明制度とは,法定相続人が,法務局に相続関係を明らかにすることのできる戸籍書類と相続関係を記載した書面(法定相続情報一覧図)を提出することにより,登記官が認証文を付した一覧図の写しを交付してくれるという制度です(不動産登記規則247条以下)。
ここでは,この法定相続情報証明制度について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
法定相続情報証明制度とは?
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法定相続人であることの証明
相続が開始された場合,法定相続人は,相続財産の調査や名義変更などの諸手続きを行わなければなりません。
例えば,被相続人名義の銀行預金口座から金銭の移動をしたり,財産の名義を被相続人から法定相続人へと変更したりするなどの手続が必要となってきます。
もっとも,これらの諸手続きをする際,ただ自分が法定相続人であると申告したからと言って,手続の相手方がそれを信じて手続を進めてくれるはずがありません。
名義変更等の手続を行うには,自分が法定相続人であることを証明する必要があります。
法定相続人であることを証明するためには,ご自身の戸籍謄本だけでなく,被相続人の出生から死亡までの戸籍(戸籍謄本,改製原戸籍謄本,除斥謄本)を用意しなけばなりません。
しかも,諸手続を行う際,謄本の提出を求められるのが通常です。行わなければならない手続が複数あると,そのたびにたくさんの戸籍書類を用意しなければならず,非常に手間も費用もかかります。
そこで,このような戸籍収集の手間やコストを軽減するために,「法定相続情報証明制度」という制度が用意されています。
法定相続情報証明制度とは?
法定相続情報証明制度は,2017年(平成29年)から開始された制度です。
法定相続情報証明制度とは,法務局に相続関係を明らかにすることのできる戸籍書類と相続関係を記載した書面(法定相続情報一覧図)を提出することにより,登記官が認証文を付した一覧図の写しを交付してくれるという制度です(不動産登記規則247条以下)。
この登記官が認証文を付した一覧図の写しがあれば,それを法定相続人であることの証明に使えます。
つまり,1回,戸籍書類を集めて法務局に提出すれば,法定相続人であることを証明できる一覧図の写しをいつでも交付してもらえるようになるので,手続のたびに戸籍書類を集める手間やコストを省くことができるのです。
登記官が認証文を付した法定相続情報一覧図は,家庭裁判所の調停や審判においても利用できます。
法定相続証明制度で証明できる事項
法定相続証明制度によって法務局から一覧図を取り寄せれば,それを相続関係を明らかにする証拠として利用できます。
もっとも,注意すべき点があります。それは,この法定相続情報制度による一覧図で証明できるのは,あくまで相続関係のみであるという点です。
つまり,形式的に,法定相続人になれる可能性があるのは誰なのか,ということだけです。遺言があるとか,相続放棄をした人がいるとか,遺産分割をしているといった事情までは一覧図に反映されません。
したがって,実際にご自身が法定相続人であるというところまでは証明できないということには注意が必要です。
遺言が存在していたり,他に相続放棄をした人がいたり,遺産分割をしているといったような事情がある場合には,別途,遺言書,相続放棄申述受理証明書,遺産分割協議書等を証拠にしなければなりません。
法定相続証明制度の手続
法定相続証明制度を利用できるのは,法定相続人(または当該相続人の地位を相続により承継した者)です。
法定相続証明制度の申し出は,以下の地を管轄する法務局のいずれかにおいて行う必要があります。
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 被相続人を表題部所有者または所有権の登記名義人とする不動産の所在地
この管轄法務局に,必要事項を記載した申出書を提出します(申出書は法務局に備え付けられています。インターネットでダウンロードすることも可能です。)。
申出書には,以下の書類を添付する必要があります。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍書類(戸籍謄本,改製原戸籍謄本,除斥謄本)
- 被相続人の住民票除票(除票が取得できない場合は戸籍の附票)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本(または戸籍抄本)
- 相続人の住所を一覧図に記載する場合は,相続人の住民票写し
- 申出人の身分証明書コピー
1度適切に申出を行えば,以降,5年間は法務局で法定相続情報が保管されますので,その間は,一覧図の再交付を求めることができます。
>> 法定相続情報証明制度の具体的な手続について(法務局サイト)
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